小島慶子、政治家待望論。元女子アナが日本のサッチャーになる日
OTONA SALONE / 2018年1月19日 21時0分
ハリウッドの有名映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインから仕事と引き換えに性的な関係を強要されたと一人の女優が名乗りを上げ、他の被害者たちにむけてSNSでme tooと声を上げることを提案。余波は日本にも及び、ブロガー・作家のはあちゅう氏がセクハラ体験を克明に語ったことから、有名人、一般人の垣根を越えて、セクハラ体験を明らかにする動きが出てきました。
持論・なぜ日本からセクハラがなくならないのか
日本で男性から女性へのセクハラがなくならない理由の一つは、日本の根幹に女性がいないために、女性の地位が社会的に低いことと関係していると私は思います。アメリカのNPO「カタリスト」の調査によると、日本の女性役員比率は世界20か国中、最下位の3.1%だったそうです。本連載の小池百合子の回でも書きましたが、女性政治家の数も日本は少ない。
女性政治家が増えて、大手企業の役員に女性がなれば、必然的に男性は変わらざるを得なくなります。男性が男性上司に気を使うのは、上司の機嫌を損ねると、自分に不利益だから。同様に「オンナ怒らせると就職できない、昇進も無理」といった具合になっていかなければ、何も変わらないのではないでしょうか。
こんな状況を打破するために、そろそろ、小島慶子(以下、コジケイ)には政治家になっていただきたいと私は願うのです。
政治家には、地盤(支持母体)、看板(知名度)、カバン(資金力)が必要とされており、故に世襲議員が多くなっていますが、元TBSアナウンサーで、現在はタレントとして活動するコジケイは経歴と知名度に優れています。大学時代はディベートのゼミに所属していただけあって弁も立ちます。昨年の衆議院議員総選挙では、立憲民主党の候補者の応援演説を行いましたが、観衆を前にして堂々とした演説ぶりでした。TBSを退社後は、テレビだけでなく小説やエッセイなど文筆家としても活躍していますが、最近は政治に関しても積極的に発言しています。
小島慶子の政治家としての強みは「怒り」
私がコジケイに政治家としての資質を感じるのは、彼女が怒ることができるからです。
「橋下×羽鳥の番組」(テレビ朝日)に出演したコジケイは、人種間の対立をあおるトランプ大統領を批判し、弁護士・橋下徹とヒステリックに激論をくりひろげました。不快感を抱いた視聴者もいたかもしれませんが、タレントも政治家も目立って何ぼ。大物相手に激怒できるのは、コジケイの才能だと私は思います。
“怒り”というのは、現代日本において最大の共感要素ではないでしょうか。
ライフスタイルが多様化している昨今、“喜び”が何かを一言で定義することは難しく、差別発言にもつながってしまいます。それに対し、“怒り”は主観の問題ですから、てっとり早く共感と連帯を稼ぐことができます。実際、山尾志桜里は「保育園落ちた 日本死ね」のブログを国会で取り上げて注目を浴びます。怒っている国民の声をとりあげて、自分も「怒っているふり」をして名を挙げたのです。仮定の話をしても仕方ありませんが、お行儀よく「保育園を増やしましょう」と訴えても、話題にならなかったでしょう。
自称「男性ウケが悪い」、むしろ自分に甘いからでは
女性にしとやかさを求める日本において、「怒ることができる」ことは才能です。しかし、長所と短所は紙一重であり、のべつまくなしに怒っていると、周囲に呆れられる可能性もあります。
そもそも、コジケイがなぜに怒りやすいかというと、自分に甘いからと言わざるをえません。
「アイドルアナになれなかった」は、コジケイが各バラエティー番組で披露する持ちネタです。その理由をコジケイは「絶対☆女子」(講談社)で「(女子アナが)競うのは見てくれではなく、放送業界という男性優位社会への適応度」、つまり、男性ウケが悪いからと自己分析しています。
しかし、「7時にあいましょう」(TBS系)で、コジケイは吉川美代子アナによる新人研修の際、こっそり暑中見舞いを書いていて、吉川アナを激怒させたことを明かしています。コジケイは「美代子の怖さを知らなかった」といった具合に「吉川アナって怖いよね」と話をすり替えていますが、男性ウケが悪かったのではなく、唯我独尊で上司全般の言うことが聞けない人なのではないでしょうか。
ご提言・欠点を解決するにはオトコを配置すべし
また同書において、コジケイはマウンティングされて不愉快だった体験を複数書いていますが、私にはどこかマウンティングがわからないエピソードがありました。
たとえば、知人の女性に「2人目ができたの。今度は男の子よ!これで一緒ね」と妊娠を告げられ、その様子から「どう、私に追いつかれて、さぞ悔しいでしょ?」と言いたいことがわかったと書いてあるのですが、ちょっと考えすぎだと思います。「自分は羨ましがられている、だからみんな私を妬んでいる」と思いこんでいるので、その反動で被害妄想的に「マウンティングされた」と過剰反応しているのではないでしょうか。
マウンディングされることには敏感な割に自分がマウンティングしてしまうかもしれない可能性については、無自覚です。たとえば、
『ある女優さんと話している時に、「独身生活は自分の時間がたくさんあっていいですね」と言うと』
と書いています。マウンティングは相手がどう受け止めるかの問題でもあるので、他人がどうこう言えません。けれど、「私はこれだけ仕事もしていて、家族もいるので忙しい。あなたはヒマでいいわね」と解釈される可能性があると考えないことに、驚くばかりです。
しかし、これらの矛盾は、彼女の下にいいブレーンを置くことで、簡単に解決できるでしょう。同書で「カフェの隣のテーブルで、女性のグループが延々と人の噂話や陰口、それに腹のさぐり合いをしているのを聞くのは、しょっちゅうです。そういうときには、震えるくらい恐ろしい」と書くなど、同性に対する不信感が根強いので、スタッフは全員男性にしたほうがよい。
「婦人公論」(中央公論新社)での対談を見ていると、コジケイは東大卒など高学歴、もしくは専門職で威圧感のない男性に心を開いているように私は感じます。政策面、メンタル面の補強をするために、こういった人を周囲に置けば、コジケイの強みが発揮できると思います。
キレ芸は「キレイ」だからこそ成立する究極の甘え
ところで、コジケイと同じく、バイオリニストの高嶋ちさ子もキレるキャラで売っていますが、男性芸能人で同じ芸風の人がいないことにお気付きでしょうか。オンナ芸人など非きれいどころもキレることをしない。これには理由があると私は踏んでいます。
男性芸能人がキレると乱暴な印象を与えるので視聴者にうけいれられません。非きれいどころの女性がキレてみせると、お決まりの「うるせー、ブス」攻撃が待っているので、彼女たちもそれをしない。つまり、キレるキャラは「女性だから」「キレいだから」成立するわけで、キレいな女性であることに甘えているとも言えるのです。
画面の向こうのみなさんがうんざりしているのを感じますので、コジケイ批判はここまでにします。私の言いたいことはただ一つ。力のある女性政治家が一人出てくれば、日本のムードは変わるはず。コジケイの政治家転身を心から願っています。
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