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知らなかった!視覚障がいの方の腕を掴んではいけない理由

パラサポWEB / 2020年12月9日 14時48分

今すぐ私たちができるサステナブルな行動って?

2015年に国連で持続可能な開発目標(SDGs)が採択されてから、昨今ますます注目を浴びているサステナブル(持続可能)への取り組み。企業はもちろん個人レベルでも、環境へ配慮した暮らしなど意識が高まっている人が多いですよね。

でも実は、環境への取り組み以外にもまだまだできることがあるんです!

そこで本シリーズでは、SDGsの大原則である「誰一人取り残さない」サステナブルな暮らしを作る一歩として、誰でもできる簡単なアクションをご紹介していきます。

前回のサステナビリティアクション【導入編】では、周囲の人にも知っておいてほしい『視覚障がいの基礎知識』について教えてもらいました。今回は、実際に視覚障がいのある人が困っているシーンに遭遇したときに、スマートにサポートできる方法をパラサポの「あすチャレ!Academy」講師であり、ご自身も視覚に障がいのある原口淳さんに教えてもらいます。

▼今回の『サステナビリティアクション』

【実践編】視覚障がいのある方へのスマートな対応

1.サポート時の声がけのコツ

2.知っておきたい基本の誘導方法

まずは話しかけていることに気づいてもらおう

声がけ時のポイント・・・

 ①まずは声をかける

 ②気づいていない場合は、軽く肩に触れる

 ③できれば自分の情報も少し伝える

ライター 前回、困っていそうな視覚障がいのある方を見かけたら、気軽に声をかけて欲しいとおっしゃっていましたが、第一声は「何かお手伝いできることはありますか?」という感じでいいのでしょうか。

原口さん いいと思います。ただ、僕のように全盲だと、自分に話しかけられているのかわからないことがよくあるんです。もし、話しかけたときに相手の顔が違う方を向いていたら、気づいていない可能性があるので軽く肩に触れてみるといいかもしれません。

ライター なるほど。声をかけたあとは、どんな風に続けるのが理想的ですか。

原口さん できれば「私は今から電車に乗ろうとしているんですけど」みたいな感じで、これからどこへ行くのかを伝えてもらえると、サポートを頼みやすいですね。 やはり今から電車に乗ろうとしている人に、出口へ誘導してほしいとはお願いしづらいんですよ。

ライター 相手の状況が分かるちょっとした会話があると、何をお願いできるか判断しやすいということですね。

原口さん はい。どちらかが一方的だと気まずい雰囲気になりやすいんですけど、お互いの状況が分かれば、仮に行先が違っても「では、駅員さんを呼んで来ていただけますか?」という自然な流れがつくりやすいですね。無理がないほうがお互いに気持ちがいいと思うので。

ライター ちなみに接客業の方は、視覚障がいのあるお客様と接することもあると思いますが、その場合はどのように対応したらいいでしょうか?

原口さん 最初に所属や名前を伝えて、どうサポートしたらいいかを訊ねてもらえると嬉しいですね。やはり、今自分が話している人がどういう人なのかが少しでも分かると安心しますから。

ライター 「接客係の○○です。本日は何かお探しですか?」という感じでしょうか。街中でもお店でも、自分が何をしている人なのかを簡単に伝えてから希望を聞く、という流れを覚えておくとスマートにサポートできそうですね。

原口さん みなさん、「どう接したらいいんだろう」とか「自分にサポートできるかな」とか、あれこれ想像して難しく考えてしまうようですが、当事者自身は、やって欲しいことやサポート方法を相手に伝えることに慣れているので、あまり考えすぎずに、まずは声をかけるだけで大丈夫だと思いますよ。

ライター 確かにいくら考えたとしても、それは想像でしかないですもんね。

原口さん 『して欲しいこと』は本人にしか分からないですし、誰かの立場になって「困っているんじゃないかな」と想像できること自体が素晴らしいので、その気持ちを大切にしてほしいですね。

誘導してもらっている最中は、会話があると安心

知っておきたい基本の誘導方法

 ①どうして欲しいか相手の希望を聞く

 ②移動の際は、自分の肩や肘などを持ってもらう

 ③当事者よりも半歩もしくは―歩前を歩く

 ④移動中は、周囲の様子や状況を伝える

ライター では、いざ誘導するとなったら何をどうすればいいでしょうか

原口さん 相手との身長差などによって希望が変わってくるので、本人にまず「どうしますか?」と聞いてもらうといいと思います。グイグイと手や腕を引っ張られてしまうと不安になりますし危険なので、基本的に当事者側から誘導してくださる方の肘を持ってもらうか肩に触れてもらいます。僕もお願いする時は肩か肘に軽く触れさせてもらって、その人の一歩ないし半歩後ろをついて行きますね。

ライター なるほど。ちなみに、歩いている時は何か話した方がいいですか?

原口さん そうですね。初めて一緒に歩く相手であれば、歩く、止まる、曲がるなどの動きや段差などの状況を言葉にしてもらったほうが、安心度は増すと思います。

ライター たしかに初対面の人と一緒に歩くのは不安ですよね。

原口さん 誘導が不安というよりも、初対面の人と2人きりで黙々と歩くのが不安といいますか、気まずくないですか?(笑)

ライター 気まずいですね……(笑)

原口さん もちろん、周囲の状況がわかったほうが歩きやすいということもありますが、ちょっとした会話があると相手の人柄もわかるので、僕らも安心できます。意外なことから話が盛り上がることもあるんですよ。

ライター ちなみに位置を説明するときは、「2時の方向に○○がある」というような時計の針の位置で方向を示すクロックポジションというテクニックもあると聞きました!

原口さん 「右斜め前」のような中途半端で複雑な方向を伝えるときに活用してもらえればいいと思います。右、左、正面といった言葉で伝わる時は無理に使わなくて大丈夫ですが、伝え方のひとつとして知っておくと便利という感じですね。

ライター では、弱視の方を誘導する際に注意することはありますか?

原口さん 弱視の場合は、誘導してくれる人が前を歩いてくれれば、体に触れなくてもついていける方もいらっしゃいます。ただ、見づらさを感じていると思うので、少し歩くペースを落とすとか、ついて来ているか確認するとか、そういった配慮があると嬉しいのではないでしょうか。それから、周囲の明るさや状況によって見え方が変わってくるので、その都度、希望を確認してもらえると助かると思いますよ。


今回、原口さんにお話を伺って痛感したのは、サポートに必要なのはテクニックではなくコミュニケーションだということ。「自分にできるかな?」と不安に感じている人も、どんな状況か、何を望んでいるか、どうしたらいいかを本人に確認すれば、スムーズに協力ができると思いました。

こうしたちょっとしたコツを知り、誰もが必要な時にサポートできるようになると、視覚に障がいのある方にとってより暮らしやすい社会になるのではないでしょうか。

次回は【応用編】として、さまざまなシーンでのサポート方法について原口さんに詳しくお伺いしていきます。

この記事の続編はこちら↓ https://www.parasapo.tokyo/topics/29557

<アクションシリーズ>記事はこちら↓

■視覚障がい者編

【導入編】https://www.parasapo.tokyo/topics/29465

【実践編】https://www.parasapo.tokyo/topics/29547

【応用編】https://www.parasapo.tokyo/topics/29557

■車いすユーザー編

【導入編】https://www.parasapo.tokyo/topics/28798

【実践編】https://www.parasapo.tokyo/topics/28895

【心がけ編】https://www.parasapo.tokyo/topics/28916

text by Uiko Kurihara(Parasapo Lab)

illustration by KOH BODY

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