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アルペンスキー・2大会連続金メダルの村岡桃佳、「二刀流」が生んだ強さの理由

パラサポWEB / 2022年3月6日 12時27分

北京冬季パラリンピック競技初日、日本勢第1号となる金メダルが誕生した。アルペンスキー女子滑降(座位)の村岡桃佳。平昌大会の大回転に続く、自身2個目のパラリンピック金メダルになる。

「どうしても金メダルが欲しかった。獲ることができて嬉しいです!」

メダルプラザで行われた表彰式で晴れやかな笑顔を見せた。

二刀流の副産物

夏冬二刀流として昨夏の東京2020パラリンピック陸上競技に出場。新型コロナウイルス感染症流行の影響で東京大会の1年延期が決まった当時、二刀流を続ける不安を明かしていた。東京大会から北京大会までの移行期間はわずか半年。村岡は自身にこう問いかけた。「スキーのために東京をあきらめるか?」。答えは「どちらもあきらめられない」。そして「自分で決めたからにはしっかりやり遂げてみせる」と心を決めた。

滑降で金メダルを獲得した村岡 photo by Getty Images Sport

アルペンスキー一本で頂点を目指していた4年前、「スキーだけで手一杯。もともと陸上をやっていたので、自国開催の夏季パラリンピックに出場したい憧れはあるけれど……」と語り、陸上競技への挑戦に二の足を踏んでいたにも関わらずだ。困難な道を突き進んでいく姿は、4年前とはまるで別人のようだった。

2020年秋、1年半離れていた雪上に戻り、北京大会に向けたスタートを切った。2021年春にはアルペンスキーの大会に出場していたと思えば、その2週間後には陸上競技場に姿を現した。陸上競技と雪上を行ったり来たりする、ハードな日々をがむしゃらに突き進んだ。

そんな二刀流の挑戦は、思わぬ副産物を生んだという。

村岡は日本代表選手団の主将だ photo by Getty Images Sport

「久しぶりに雪上に上がったとき、『あれっ、いつもより体が動かしやすいな』、『ターンの質が変わったな』とすごく感じました」

取り組んできた陸上競技のトレーニングのおかげで、アルペンスキーのトレーニングだけでは得られなかった機能的な体が仕上がっていた。体幹の筋力もアップ。ターンの安定性も増した。

大会マスコットを手に笑顔 Photo by AFLO SPORT

そして臨んだ初戦。男子座位の第一人者で同日銅メダルを獲得した森井大輝らも「すごく難しい」というタフなコースだったが、村岡は大会前の公式練習で見出した理想のライン取りで、直角のカーブからすり鉢状の斜面に入る難所をロスなく通過。この難所を最短スピードで滑ったことで、今季世界ランキング1位のアナレナ・フォルスター (ドイツ)に0.82秒の差をつけた。「滑っていて気持ちよかったです」。フィニッシュ後は左手を突き上げた。

強い気持ちもうかがえた。難しいコースだったため、今季ワールドカップ6勝の村岡は滑り切れればメダルは間違いないと予想されていた。だが、攻めなければ金メダルはない。実際に村岡の後を滑った選手の多くがコースアウトした。村岡にも少しの恐怖心はあったものの、「自分はできる」と、スタート地点で自らに集中できたという。3日間の公式練習では、この4年間の自らの成長を実感することができた。「つらくて長い」と表現した二刀流を歩んだ日々がこの局面で生きた。

恐怖心を乗り越え、攻めの滑りを見せた photo by Getty Images Sport

陸上競技とアルペンスキー。心技体に磨きをかけた“二刀流の挑戦”が導いた金メダルだった。

主将としての背中

日本代表を勢いづける金メダルでもある。

「主将を務めさせていただいていることもあって、こういうふうに金メダル第1号という結果で貢献できたかな。いい日本チームのスタートを切れたのではないかなと思います」

いつもの自分らしく楽しみながらレースをする。結団式時の記者会見で「背中で引っ張る」と誓っていた村岡は、主将として安どの表情をのぞかせた。

「二刀流のゴール」と位置づける北京大会。前回を超える成績を残すため、このあとに続くレースで、もうひとつの金メダルを見つめていることは言うまでもない。

セレモニーでは日の丸を背に掲げた Photo by AFLO SPORT

text by TEAM A

key visual by AFLO SPORT

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