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出世したくない若手が、40代で「できない人認定」される危険性

PHPオンライン衆知 / 2023年12月18日 11時50分

仕事ができる人

昨今の若手社員は出世意欲が乏しい傾向がある。しかし、そのスタンスを継続していると中高年になって「仕事ができない人」のレッテルを貼られる可能性があるのだ。若手が「仕事ができる人」と評価されるために必要なこととは? 安達裕哉氏が、コンサルタントとして活躍した経験から語る。

※本稿は、安達裕哉著『仕事ができる人が見えないところで必ずしていること』(日本実業出版社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

コンサル会社で部下に課した8つの訓練

私はコンサルティング会社に12年間在籍したが、入社して4年目に管理職となり、それ以来ずっと、部下に仕事を教えてきた。とはいえ、難しいことを指導してきたわけではない。上司から受け継がれ、「ごく当たり前」とされていたことを指導してきただけだ。内容は全部で8つ。

ごくシンプルで、おそらくどこの会社でもやっている、ふつうのことだろう。が、個人的に重要な訓練ばかりであると思っているので、いずれのテーマもじっくり腰を据えて取り組むべきだと思う。

1. 時間管理

時間管理は新人に最初に教える技術であり、すべての仕事の根幹をなす技術だ。手帳の使い方、タスク管理の方法、スケジューラの使い方などの基本的スキルからなる。

時間管理ができず、タスク漏れがあったり納期の遅延を頻繁に起こしたりする人物は、頭がよくても「信用できない」というレッテルを貼られてしまうため、上司が真っ先に教えるスキルだ。

2. 文章力の強化

我々は物書きではなかったが、メールや報告書、提案書、各種資料など、文章力が求められるシーンは非常に多かった。「文章くらい、訓練不要ですよ」と言う方もいたが、たいていの人は文章を書き慣れていないため、文章を書かせてみると「いまひとつ」というものも多い。

メールなど、顧客とやり取りする文章がわかりにくいと、顧客からのクレームに直結する場合もあるので、文章に気をつかうのは当然であった。

具体的な訓練法はさまざまだが、私は「セミナーのテキスト」を片っ端から短く要約させるという訓練をした。小説家を目指すわけではないので、これで十分である。

これは、自社のノウハウを学ぶと同時に文章力も上げることができる。けっこうなボリュームがあり、テキスト数も100近くあったため、部下はさぞかし大変だっただろう。だが、1年も経てば皆それなりの文章が書けるようになる。

3. ディスカッション

ディスカッションは非常に重要なスキルの1つだ。顧客とディスカッションするシーンが多かったコンサルタントの仕事においてはとくに。勘違いされている方も多いのだが、「ディベート」と異なり、「ディスカッション」の目的は相手を論破することではない。相手を打ち負かしてしまっては、まとまるものもまとまらない。

「ディスカッション」は、「相手のプライドを傷つけずにうまく本音を引き出し、自分の言っていることを相手に理解してもらったうえで、ディスカッションの前に出ていた案よりもいい案で合意する」という結果を得るための活動である。

訓練法は極めて地味で、社内で行なわれるディスカッションをひたすら繰り返す。このとき、ディスカッションの目的を知っていれば、比較的、短期間で技術を身につけることが可能だ。

4. 会議の仕切り

いわゆる「ファシリテーション」という技術である。顧客先で会議の進行役を務めるケースが多いため、新卒にも「会議の仕切り」をやらせる。ファシリテーションの目的はさまざまあるが、私は「会議を盛り上げ、全員の意見を引き出す」というゴールを設定していた。

訓練を繰り返すと、新人であっても、「議論が停滞しているが、この人に聞けば打開できる」、「最初からこの人に聞くと結論が出てしまうので、この人には最後に意見を求めよう」といった議長のスキルが身につく。

これは、議長でなく会議のメンバーになったときにも「会議へのうまい参加の仕方」が身につくことになるので、非常に有意義な訓練である。

5. 人前で話すこと

若手にも、積極的にセミナーの講師をやってもらった。もちろん最初は誰でも声が震え、講義どころか挨拶すら満足にできない。しかし、人間の能力はすごいものである。訓練を繰り返すうちに、ほとんど誰であっても、だいたい半年程度で立派に話せるようになる。

訓練法は至ってシンプルである。セミナーの内容を覚え、リハーサルを繰り返すだけ。実際、誰でも講師になるのは可能である。また、人前で話すことに慣れると自信がつくので、たいていのプレゼンテーションは楽にこなせるようになる。

6. 読解力を強化する

知識をつけ、読解力を強化する訓練である。我々が行なっていたのは、これも極めてシンプルな方法で、「月に10冊本を読む」というものだった。

また、人により読書への慣れのレベルが異なるため、私は「どの本を読め」という指定はあえて行なわなかった。なかには小説を読んだり、マンガを読んだりする人もいたが、読まないよりははるかにいい。折を見てどんな本を読んだか発表してもらい、仲間うちでいい本の共有をしたりもした。

7. 自分で考えるクセをつける

部下の相談には基本的に、「あなたはどう思うか?」と聞くことを最初に行なう。これは、上司に質問をする前にあらかじめ自分で意見形成をせねばならず、「自分で考えるクセづけをする」ために有効な訓練であった。

8. 飲みの席でのマナー

コンサルタントは仕事柄、社外の人々との宴席が多い。そのため、飲みの席でのマナーは重要なスキルの1つであった。

社内の飲み会は、社外の飲み会の練習という位置づけであり、部下は上司に酒をついだり、空いた皿やグラスを見つけて注文したりとけっこう忙しい。個人的に、飲みの席は非常に苦手な部類の1つであり、いまでも「嫌なら行かなくてもかまわない」とは思うが、上司や先輩に厳しく言われたことが、社外でかなり役に立ったのも事実である。

最近、「飲み会が嫌だ」と言う若手が多い、とよく聞くが、「社外」での宴席が多い仕事であれば、積極的に上司を誘い、マナーを身につけるのも1つのやり方である。

 

 

ビジネスパーソンにとって「出世」とは何なのか

「会社で出世したいですか?」こう問われて、「まったく」と言う人も多いと聞く。

しかし、30代まではいいが、40代〜50代で出世できていないと、それなりにつらい。出世しなければ給料も上がらず、やりたいこともできない。「できない人」という目でまわりから見られ、存在を軽んじられるのは、プライドが深く傷つく。それは望まない人が多いだろう。

では、どうすれば出世できるか、ということについてはあまり多くが語られていない。というより、むしろ「間違ったことが語られている」と言ってもいいかもしれない。たとえばつい先日、ある上場企業で「出世するためには何が必要ですか?」と聞いたところ、一番に挙がってきたのが、「スキルアップ」だった。

そして、その中身を聞くと、「英語」や「企画力」、あるいは「プレゼンテーション力」など、スキルに関わるものがほとんどであった。他には、「上司に気に入られること」、果ては「運」と回答した方もいた。

たしかに、これらの要素は重要である。だが、経験的に皆知っているように、英語などの「スキル」は出世するかどうかの決定的な要因ではない。

「スキルをつけること」や「上司に気に入られるかどうか」に一生懸命になっても、「出世できるか」は、別の話である。

では、何がもっとも重要なのか? このことについて、ピーター・ドラッカーが的確なことを言っている。

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現実は企業ドラマとは違う。部下が無能な上司を倒し、乗り越えて地位を得るなどということは起こらない。上司が昇進できなければ、部下はその上司の後ろで立ち往生するだけである。

たとえ上司が無能や失敗のため更迭されても、有能な次席があとを継ぐことはない。外から来る者があとを継ぐ。そのうえその新しい上司は息のかかった有能な若者たちを連れてくる。したがって、優秀な上司、昇進の早い上司をもつことほど部下にとって助けとなるものはない。
(※『経営者の条件』ダイヤモンド社)
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単純化してしまえば、「上司が出世すること」が、自分が出世するための決定要因であるということだ。たとえ下げ衆で、人望がなく、部下に対して何もしない上司であっても、彼が出世できなければあなたも出世できない。サラリーマン金太郎は、会社の創業者である大和守之助が彼を引き上げた。

島耕作は、上司である中沢喜一が出世し、社長にまでなったから、自分も社長になれた。マンガはフィクションであるが、世の中の縮図である。

さて、我々はこの状態で何をすべきだろうか? さきほどのピーター・ドラッカーの引用には、続きがある。   

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部下は上司を改革したがる。有能な高級官僚は新任の閣僚に対する指南役を自任しがちである。そしてもっぱら限界を克服させようとする。しかし成果をあげる官僚は「新長官は何ができるか」を考える。そして「議会や大統領や国民との関係づくりがうまい」のであれば、そのような能力を十分に使わせるようにする。

優れた政策や行政も、政治的な手腕をもって議会や大統領に提示しなければ意味がない。しかも新閣僚は、官僚が彼を助けようとしていることを知るならば、政策や行政についての説明にも耳を傾ける。
(※『経営者の条件』ダイヤモンド社)
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上司を変えるのは簡単なことではないが、上司を助け、成果をあげさせることはできる。

「上司の強みを活かし、成果をあげさせ、出世させよ」

これが、自分が出世するためのただ1つの方法である。

 

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