若手を怖がるのではなく、理解せよ――パワハラにならない「やる気の出させ方」
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月1日 9時10分
若手を怖がるのではなく、理解せよ
・会社が私生活に干渉することを拒む
・プライベートな時間と、会社以外の居場所を大切にしたい
・会社という枠組みにとらわれず、自分自身の価値観に従って仕事をしたい
・転職も含め将来の多様な可能性を求めたい
・たとえミスをしても広い心で受け入れ、温かく成長を見守ってくれる「寛容型」の上司を求める
――これらはいずれも「新入社員意識調査アンケート結果」で明らかになっている、昨今の若手社員の特徴と傾向である。
彼らを指導する立場の管理職世代の方も、かつては上司から「最近の若者は打たれ弱い!」「俺たちの若い頃は……」などと小言をいわれていたかもしれないが、いざ自分自身が指導する立場となると、同様の難しさを感じることが多いのではないだろうか。
特に近年は企業のコンプライアンスやハラスメントに対して世間の目は厳しく、むしろ部下の側から「それってパワハラですよ」と指摘されることを恐れ、ちょっとした指示や指導さえためらう方もいるかもしれない。
●新入社員「任された仕事だけしたい、でも成長意欲は高い」……どういうこと?
しかし、データをよく読めば、一般的な傾向だけでは分からない「若手社員の実態」が見えてくる。
実は、彼らは「成長意欲」「貢献意欲」を持ち、「仕事の意義」や「タスクの意味」さえ納得できれば前向きに行動できる。そして仕事は長時間労働か否かよりもその「成果や質で評価されたい」し、仕事に必要なスキルや能力の獲得は「自己責任」であると、会社の仕事をある意味シビアかつドライに捉えていることが分かる。そのマインドに、管理職側も寄り添ってコミュニケーションを取っていくべきであろう。
管理職世代が戸惑う点があるとすれば、若手社員の「働くうえで大切にしたいこと」への回答において「任された仕事を確実に進めること」の割合が過去最高となり、「何事も率先して真剣に取り組むこと」が過去最低となったところではないだろうか。
「成長したいと言っておきながら、率先して行動するわけでもなく、与えられた仕事を頑張るとは一体どういうこと!?」と感じてしまうのも無理はないだろう。
これは決して彼らにやる気がないわけではなく、失敗に対する不安感が大きいゆえの「堅実に仕事を進めていきたい」意思の表れ、と捉えるとよいだろう。
彼らは、教育の変化によって厳しく指導されたり否定されたりする経験に乏しい。また、サービスの発展によって自発的に行動する経験も積みにくい時代を生きてきた。さらに、学生時代の貴重な数年間をコロナ禍中で過ごしたことにより、学外での活動を通した成功体験、失敗体験も充分に得られていないといった背景要因も考えられる。だからこそ、失敗への不安を早期に払拭し、彼らの成長意欲を着実にフォローするための「丁寧なコミュニケーション」が求められるのだ。
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