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「いつも」と「もしも」を賢く両立 防災のプロ2人が語る、フェーズフリーな暮らし

PHPオンライン衆知 / 2024年12月28日 12時0分

フェーズフリーな暮らし

地震、台風、水害。災害関連のニュースが引きも切らない昨今の日本。備えておいたほうがいいことはわかっているけど、つい後回しにしてしまう.....。仕事や子育てに追われていればなおさらでしょう。

今回、防災士やキャンプインストラクターの資格をもつママキャンパー3人組「CAMMOC(キャンモック)」の著書『ラクして備えるながら防災 フェーズフリーな暮らし方』の刊行を記念して「防災アナウンサー」こと奥村奈津美さんとの対談が実現。

著書では、"いつも(平常時)"と"もしも(非常時)"のフェーズをなくす「フェーズフリー」の考え方のもと、理想的な暮らしと防災の両立を提案しています。

奥村さんもまた、数年前に防災に関する著書を出版しています。フェーズフリーアワード2024では審査員を務めました。

CAMMOCの一員であるマミさんと奥村さん、防災やフェーズフリーでつながり、ともに一時の母であるふたりは何を語るのか。

第2回は、おふたりがフェーズフリーを知ったきっかけから。

 

フェーズフリーって知ってる?

CAMMOC(キャンモック)・マミさん、奥村奈津美さん

【マミ】『ラクして備えるながら防災』は、フェーズフリーという考えに基づいた備えを提案しています。日常と非常、平常時と災害時のフェーズをなくして、"いつも"の暮らしを豊かにするものが、実は"もしも"のときにも役立つというアイデアをたくさん紹介しましたが、奥村さんはいつからフェーズフリーをご存知でしたか?

【奥村】それが、いつ知ったか覚えていないくらい何年も前です。私自身の被災経験から、災害時では普段使ってるものしか使えない、という理解がありました。それなら普段の生活で使うモノを災害でも役立つモノに変えていこうと考えるようになりました。はじめてこの言葉に出会ったとき、「これをフェーズフリーって言うんだ!」とつながったんです。

【マミ】私もフェーズフリーという言葉を知って、いままで自分がキャンプでも家でも使っていたモノが、「これ、フェーズフリーなんだ」「あ、これも」とつながりました。言葉があることで、人に説明しやすくなったり、共有できるようになったりしますよね。

 

好きな食べ物で、もしもに備える

【奥村】防災って、フェーズフリーじゃないとつづかないと思っています。「これが防災グッズで、これが非常食......」と意識して買ったものは、どこかにしまっておくことになりませんか? いざというときその場所が思い出せなかったり、賞味期限が切れていたりします。

【マミ】形だけのものになりますよね。つづかないし、活かせない。

【奥村】ローリングストックという言葉はだいぶ浸透したと思いますが、それでも非常食を備蓄しながら使っていくというイメージが強そうです。人によって食生活はまったく違うし、好き嫌いもあるので、「これを買ったら、誰にとっても絶対に大丈夫!」という非常食はないですよね。たとえば、うちの子はアルファ化米が苦手です。じゃあ非常時になったら食べてくれるかというと、それはきっとありません。だから日ごろ子どもが食べているものを、少し多めに購入して備蓄していくんです。

 『ラクして備えるながら防災 フェーズフリーな暮らし方』
▲『ラクして備えるながら防災 フェーズフリーな暮らし方』でも著者のストック食品を紹介。いざという時も食べ慣れた味に安心できます。

【マミ】私も以前は、安いからという理由だけで大容量パックを買って備蓄していたのですが、食べる気にならないうちに賞味期限が過ぎてしまって。最近のお気に入りは、カルディでちょっと贅沢だなと思う食品を買うことです。「これだと日持ちするし、非常時も食べられるから!」と買っておいて、食べるときも「ローリングストックだから!」と......自分への、いい意味での言い訳になりますしね(笑)。

【奥村】災害時で体調が悪くなったり心が疲れてしまっているときって、食べたくないものは本当に食べられません。はじめて食べるものが口に合わなかったり、お腹を壊したりすることもあります。自分が好きなものや、おいしいと感じられるものを食べて、ようやく元気になれるんです。私は"プラ1(イチ)備蓄"といっているのですが、好きなものを1個多く買っておいて、1個食べたら1個買い足す。2個目の賞味期限が切れる前に食べ終えて、新しいものと交換できるものだけ備蓄する。そんな感じで、私も楽しく備えています。

 マミさんの押し入れ▲マミさんは押入れをDIYで大容量の収納庫に。飲料は野菜ジュースや豆乳など、日ごろよく飲むものも、すべて備蓄の水分と考えて多めに買い置いています。

 

楽しみながら「24時間チャレンジ」

【マミ】"いつも"の暮らしに使っているもので、"もしも"のときに備えるという、フェーズフリーの考えのもと、奥村さんが、おうちでご家族と一緒に試されていることってありますか?

【奥村】自宅で「ライフラインが止まってしまった」という設定で1日を過ごす"24時間チャレンジ"を、息子と一緒にやってみたことがあります。暑い夏など、季節によってはおすすめできませんが、電気・ガス・水道を使わずタンクに溜めた水を使ったり、カセットコンロでご飯を炊いたり。息子は冷たい水で身体を洗うのは「ちょっとつらいね」と話したり、ご飯を作るのは「楽しかった」と喜んだり、彼なりに感じたことがあったようです。ゲーム感覚でやってみると、お子さんも楽しく体験できると思いますよ。

【マミ】私も、家でテントを張ってキャンプをすることがありますね。コロナ禍では"おうちキャンプ"というキーワードが流行したのもあって、同じくカセットコンロでバーベキューを楽しみました。アウトドアでキャンプをするときは、「いつも使っているモノ」がない、という設定で、じゃあ何を代わりにできるか、を一緒に考えます。コレじゃなきゃいけないと思っているものでも、案外こっちでもイケるかも、と思いついたときはうれしいです。

 ウッドデッキをリビングに
▲CAMMOC・カナさんのおうちでは、ウッドデッキをアウトドアリビングとして活用。テントも日常使いしています。

 

何が必要かは、人それぞれ

【奥村】人は習慣の生き物なので、毎日していることができなくなること自体がストレスになるんですよね。お薬を飲んでいる人は、それがないと健康や命のリスクがあるし、喫煙や晩酌の習慣がある人だって、それが手に入らない避難所生活は非常につらい思いをします。コレはいらない、コレは贅沢だと他人が決めるものではなく、何が必要かは、その人による。防災とは「カスタマイズ」なのだと思います。

【マミ】子どもの場合は、成長に合わせて必要なものが変わっていきますよね。いまはこのミニカーがあれば、しばらく落ち着いて遊んでいるけど、来月には興味が別に移っていてミニカーはもういらなくなるかもしれない。子ども用の防災バッグを見直すとき、「いま、この子にとって何がベストか」を考える......。やっぱり防災の基本って、自分や家族の、その暮らしや相手のことを考えるところにあるんですね。

※この対談は、第3回へ続きます。

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