自律神経が整い、心もほぐれる「朝・昼・晩のルーティン」
PHPオンライン衆知 / 2024年12月25日 11時50分
知らず知らずのうちにストレスが慢性化し、心にコリが生じていませんか? 『PHPスペシャル』2025年1月号より、ひとりで簡単にできる「心ほぐし」のヒントをご紹介します。
※本稿は、『PHPスペシャル』2025年1月号より内容を抜粋・編集したものです。
「心のコリ」を見逃さないで
体だけでなく、心にもコリが生じることを、ご存じでしょうか? 肩や首のコリを自覚している人は多いですが、心のコリに気づき、きちんとケアをしている人は少ないように思います。
心のコリは、強い、または絶え間ないストレスにより、心が緊張することで生じます。不安な気持ちが続いている、自然に笑えない、よく眠れないなどの症状があるなら、それは心がコリ固まっているサインかもしれません。
そのような状態を放置しておくと、ある日突然、感情のコントロールができなくなったり、過呼吸や動悸などが出てきたりします。さらに、不安神経症や睡眠障害など、さまざまなメンタル不調を引き起こすことも。心のコリは放置せず、軽いうちにほぐすことが大切です。
一方、人がストレスにさらされたときに体で起こる変化のカギを握るのが、自律神経です。
自律神経は、体を動かすアクセルのような存在の「交感神経」と、体にブレーキをかけてリラックスモードに導く「副交感神経」の2つで構成され、それぞれがバランスをとりながら、24時間休みなく働き続けています。しかし、心身に過度なストレスがかかると、自律神経の司令塔である脳が正常に働かず、自律神経が乱れてしまい、体に不調が起こってしまうのです。
心と体はつながっているため、心のコリと自律神経は相互に影響を与え合っています。心がほぐれれば自律神経も整い、逆に自律神経が整えば心のコリもとれる、というイメージです。
心のコリをほぐして自律神経を整えるセルフケアの中から、簡単にできるものを厳選してご紹介します。ぜひ、毎日のルーティンとして取り入れてみてください。
朝のルーティン
起きてすぐのルーティンで、心も体も気持ちよく目覚めさせましょう。
・起きたら太陽の光を浴びる
心にコリが生じていると、朝起きるのが億劫に感じるものです。そんなときこそ、太陽のパワーを味方につけましょう。朝起きたらカーテンを開けて、太陽の光を浴びてください。朝日を浴びると体内時計がリセットされて、副交感神経から交感神経への切り替えがスムーズになります。
・体を思いっきり伸ばす
寝起きの体に「朝だよ!」と知らせることで、交感神経を目覚めさせましょう。具体的には、立った状態で大きく伸びをします。太陽の光を浴びながら行なうと、さらに効果的です。軽くストレッチをするのも◎。
・深呼吸する
起床後すぐに忙しく動き回ったり、慌てて外出したりすると、呼吸が浅くなり、自律神経は乱れてしまいます。そこで、いつもより少しだけ早く起きて時間の余裕をつくり、その時間で深呼吸をしてみましょう。時間だけでなく、心にも余裕が生まれるはずです。
・朝食はよく噛んで食べる
健康的な体を目指すうえで、「何を食べるか」はもちろん重要ですが、「どう食べるか」も、同じくらい重要です。とくに朝食は、ゆっくりと、よく噛んで食べるようにしてください。
一定のリズムで咀嚼を繰り返すことで、幸せホルモンであるセロトニンの分泌量が増えます。朝の時点でセロトニンが増えると、夜の睡眠の質も高まります。さらに、よく噛むことで内臓の負担も軽減され、脳への血流が安定して自律神経が整い、心のコリがほぐれていきます。
・やるべきことを書き出す
心のコリが原因で起こる不安神経症やパニック障害は、焦りや混乱がきっかけとなり発症することが多くあります。そのため、その日のうちにやるべきことは頭の中だけで考えるのではなく、書き出して「目で見る」ようにしましょう。やることを客観的に把握でき、優先順位がつけやすくなります。
\心がほぐれる「まぁ、いいか」/
心のコリがひどく、自律神経を乱しやすい人は、とてもまじめで、頑張り屋さんな傾向があります。どんなに疲れていても、つい無理をしてしまうのです。そこで取り入れたいのが、「まぁ、いいか」という考え方。
自分と周りを比べて焦ってしまう気持ちもわかりますが、人は人、自分は自分と割り切って、休むときは休みましょう。完璧じゃなくても、まぁ、いいか。つらいときは助けてもらえば、まぁ、いいか。そんなふうに思うことができたら、心はほぐれやすくなるでしょう。
昼のルーティン
仕事や用事に追われる忙しい時間帯でも、少しの工夫で、心をほぐすことができます。
・「ながら作業」は控える
何かをしながら別のことをする「ながら作業」は、脳内の処理作業を増やし、脳にストレスを与える一因に。たとえばランチタイムに、仕事をしたり、スマホを見たりしながら食事をするのは、できるだけ控えましょう。食事中は本来、副交感神経を優位にしておくべき時間です。できるだけリラックスした状態で、食べることに集中しましょう。
・15分間の昼寝をする
日中、眠気に襲われたら、15分ほど昼寝をするのがおすすめです。少しの間、目を閉じるだけでも脳が休まります。昼寝をする際は、30分以上寝てしまうと夜の睡眠に影響が出るため、注意しましょう。眠気を覚まそうと、高濃度のカフェインが含まれるエナジードリンクを飲むのもNG。体は疲れているのに脳が興奮状態になり、自律神経が乱れる原因になります。
・あえてゆっくり動く
忙しくて気持ちが焦ってしまうときこそ、いつもの半分くらいのペースで、ゆっくりと行動するようにしましょう。ゆっくり動くと呼吸が深くなり、リズムも安定して、落ち着いた状態で作業を進められます。とくに仕事中はプレッシャーを感じやすく、交感神経が優位になりがちなので、意識して自律神経のバランスを整えることが大切です。
・疲れたら甘いものを少し食べる
脳は、じっとしていても、1時間に約5gのブドウ糖をエネルギーとして消耗します。低血糖で脳が正常に働かなければ自律神経にも負担がかかるため、疲れたときはラムネやチョコレートなど、甘いものを口にしましょう。ただし、血糖値が上がりすぎても良くないため、あくまで「少量」にとどめてください。
・コップの底に手を添える
些細に思える動作でも、じつは心身の状態と深くつながっているものです。たとえば飲みものを飲むとき、コップを持っているのとは反対の手をコップの底に添えると体の軸が安定し、心が落ち着くことがわかっています。ちなみに水分補給には、常温の水か白湯がおすすめです。冷たい水により腸が冷えるとセロトニンの分泌が減り、不安感が増してしまうので、注意しましょう。
・ものを探す時間を減らす
ある調査によると、働く人の「もの探し」に費やす時間は、年間およそ150時間にもなるそうです。作業を進めたいのに必要なものが見つからず、焦ってしまうストレスは、自律神経が乱れる原因になります。また、部屋や机が散らかっていると、視覚から入ってくる情報が増え、脳も疲れてしまいます。余計なストレスを抱えないために、身の回りは常に整理しておきましょう。
夜のルーティン
頑張った一日の終わりには、心にも体にも優しい行動を心がけるようにしてください。
・就寝の90分前に入浴する
私たちの体は、体温が下がるときに眠くなるため、寝る90分前にお風呂に入ることを心がけましょう。入浴で体温を上げ、下がっていくタイミングでベッドに入るのがポイントです。また、無理して長風呂をしたり、熱いお湯に浸かったりすると、交感神経が過剰に刺激されます。39~40℃のお湯に15分ほど浸かれば充分です。
・「涙活」で心身をリセット
涙を流すとストレスホルモンが減り、セロトニンの分泌が活発になることがわかっています。中でもとくに自律神経を整えるのは、感動したときに流れる涙。夜のリラックスタイムは、ぜひ心温まる映画や小説、音楽に触れ、感動の涙を流しましょう。
・寝室の照明はオレンジ色に
照明の色は、自律神経のバランスに少なからぬ影響を与えます。青白く、照度の高い光は交感神経を優位にするため、寝室は、オレンジ色など暖色系の柔らかい照明にしましょう。リラックス効果が高まり、快眠につながります。
・寝る1時間前にはスマホを閉じる
スマホやタブレットから発せられるブルーライトを浴びると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制されます。その結果、睡眠不足になったり自律神経が乱れたりする原因に。寝る前の1時間は、スマホと距離をとりましょう。
また、枕元にスマホを置いて寝るのも、電磁波の影響で睡眠の質が下がります。スマホでアラームをかける際は、できるだけ離れたところに置いて寝るようにしましょう。
心のコリがとれたら、毎日が楽しくなる
ここまでにご紹介したルーティンを日々、一つでも多く実践すれば、心は少しずつ、けれど確実に、ほぐれていくはずです。心のコリがほぐれると、一人で抱え込んでいた「なんとなく不安」が消えて毎日が楽しくなったり、体が軽くなって前向きな行動を起こせるようになったりと、いいことがたくさん起こります。
自分の心身の調子が整うと、他人にも優しくできるようになるものです。すると、仕事や人間関係がうまくいくようになり、さらなる幸せの循環が生まれるでしょう。みなさんが心のコリから解放されることを願っています!
【前田祐樹(まえだ・ゆうき)】
自律神経・慢性腰痛専門整体院natura─ナチュラ─院長。柔道整復師として整形外科や整骨院で勤務後、独立。3万人以上を診てきた経験を活かし、自身のYouTubeでは自律神経のセルフケアについて配信。著書に『ひとりでできる! 心ほぐし』(マイナビ出版)などがある。
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