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【関節痛治療のための“人工関節の手術”】リハビリの要は「患者の“ゴール”を見極め併走してくれる医師を見つけること」

NEWSポストセブン / 2024年6月11日 15時59分

60歳以上の80パーセント以上が関節症に悩んでいる

 関節に痛みを感じる人は加齢とともに増加し、60才以上の人口の80%以上が、ひざ、ひじ、股関節、脊椎などの変形性関節症に悩んでいるという報告もある。人生100年時代を生き抜くため、やわらげる方法から手術を経た後のリハビリまで最新情報をジャーナリストの鳥集徹氏がリポートする。【前後編の後編。前編を読む】

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最終手段は「温活」と「杖」

 保存療法やリハビリ、運動を組み合わせてもなお痛みが改善せず、慢性化するケースもある。北里大学病院整形外科講師で、股関節外科やスポーツ医学を専門とする福島健介医師がアドバイスする。

「そうした場合、いったん温めてみた方がいい。ぶつけたばかりとか、腫れて熱を持っている場合は『急性痛』と言って、冷やした方がいいですが、長期間うずくような痛みがあるときには、お風呂で少し長めに半身浴をするなどして、体を温めてください。

 加えてひざや股関節などが痛いのに長距離を歩く必要がある場合には、杖をつくことをおすすめします。日本では杖を嫌がる人が多いのですが、確実かつ簡単に関節にかかる負荷を減らせます。体形や筋力を急に改善するのは無理ですから、痛みががまんできないときには恥ずかしがらずに、杖を使うことも検討してみてください」

 関節の痛みをとるには、手術を受ける方法もある。特にひざや股関節の骨がすり減って強い痛みが出て、歩けなくなったり夜眠ることができなくなるなど日常生活に支障が出た場合は、人工関節に入れ替える手術が選択肢に入ってくる。広島市民病院副院長・整形外科部長で、スポーツ選手や中高年のひざの痛み治療に加え、軟骨の再生医療にも取り組んできた出家正隆医師が話す。

「日本人は人工関節にするタイミングが、欧米の患者に比べて遅い傾向にあります。しかし人工関節の手術は、脚の機能が落ち切ってからよりも、その前に行った方が、術後の回復が早いんです。患者さんの中には、『車椅子になったら受けます』と話す人もいますが、それでは遅い。私は『10分歩けなくなったら人工関節のタイミングだ』と講演で話しています」

手術の予後はリハビリで変わる

 股関節が専門の福島医師は、「手術のリスクを負ってでも、人工関節にしたいかどうか」をひとつの判断基準にすべきと話す。

「手術の適応は、患者さん自身が決めることだと説明しています。たとえば、年に1回の海外旅行を生き甲斐にしているのに、股関節の痛みが原因で断念しているのであれば、手術をする立派な理由になる。

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