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体のあちこちが痛い…50代女性に多い疾患3つかも!? 当てはまる症状は?

ハルメク365 / 2024年3月29日 11時50分

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50代になり体のあちこちが痛い。パッと思い浮かぶのは「更年期障害」ではないでしょうか。実は女性に多く見られる病気として他に「関節リウマチ」「線維筋痛症」が考えられます。3つの疾患の特徴や原因、痛み方、何科に行けばいいのかなどを解説します。

監修者プロフィール:森大祐さん

森大祐さん

日本整形外科学会認定整形外科専門医。関西医科大学卒業後、京都大学整形外科に入局。脊椎、上肢疾患の臨床研究をおこない、脊椎、手関節、肘、肩関節に精通する。その後米国トーマスジェファーソン大学で人工肩関節の臨床研究を主な目的に留学。京都下鴨病院で肩関節外来を担当し、脊椎機能の重要性を唱えている。

体のあちこちが痛い…もしかして病気?

体のあちこちが痛い、原因不明の筋肉痛や関節痛があるなど、不調があるときは「もしかして病気?」と気になるもの。以下のような原因が考えられる場合は、心配ないケースであることが多いです。

  • 風邪やインフルエンザにかかっている
  • 重いものを運ぶ、農作業などの肉体労働をした
  • 激しいスポーツをした

風邪やインフルエンザによる関節痛、肉体労働やハードな運動による筋肉痛であれば、多くのケースで安静にして過ごすことで症状は回復していきます。

しかし、慢性的に体のあちこちが痛むという場合、病気の可能性も考えられます。

まずは関節痛か筋肉痛かを見極める

風邪やインフルエンザ、運動や肉体労働などの原因が思い当たらず、全身の痛みが続く場合、痛むのは「関節」なのか「筋肉」なのかを見極めましょう。

全身の関節が痛む場合は、多発関節痛が考えられます。多発関節痛が起こる原因となる病気としては、膠原病、変形性関節症(OA)、結晶性関節炎、ウイルス性関節炎などがあります。

膠原病とは、全身の関節や血管、皮膚、筋肉などに炎症が起こる病気の総称で、原因不明の関節の痛み、発熱、湿疹などが見られます。

膠原病に厳密な定義はありませんが、現時点では関節リウマチ、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性強皮症、ベーチェット病、多発性筋炎・皮膚筋炎、好酸球性筋膜炎、混合性結合組織病などが膠原病に分類されます。

膠原病の中でも特に多く見られるのが、関節リウマチとシェーグレン症候群です。

体のあちこちが痛い…女性に多い3つの病気

体のあちこちが痛い…女性に多い3つの病気

全身の痛みが起こる女性に多い病気や原因はいくつか考えられますが、中でも代表的なのが以下の3つの病気です。

  • 更年期障害
  • 関節リウマチ
  • 線維筋痛症

ここからは、それぞれの病気について詳しく解説していきます。

更年期障害

更年期とは、女性が閉経を迎える45歳〜55歳くらいまでの約10年間を指します。日本人女性の閉経年齢は50歳前後といわれています。

更年期には、閉経に向けて女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が大きく減少しますが、この急激な変化によって、女性の体や心にさまざまな不調が見られるようになることがあります。

このような更年期に伴う不調が強く、日常生活に支障が出る症状のことを、更年期障害といいます。

関節や腱の周囲にある滑膜にはエストロゲン受容体が非常に多く存在しています。

エストロゲン受容体とエストロゲンが結合することでヒアルロン酸が産出されます。ヒアルロン酸は腱や腱鞘の動きをなめらかにし、関節の軟骨を正常に保つ働きがあります。しかし、更年期障害ではエストロゲンが減少することでヒアルロン酸の産出が減少し、腱や腱鞘の動きが悪くなったり、関節軟骨が減少します。しいては関節や腱の腫れや痛みが見られるようになるのです。

また、ホルモンバランスの変化が脳の視床下部に影響を与えると、痛みに敏感になります。

更年期障害の場合、体のあちこちが痛いという症状の他にも、以下のような症状が見られることがあります。

  • ほてり、のぼせ、発汗
  • 動悸
  • 頭痛
  • 吐き気
  • めまい
  • 肩こり、腰痛、関節痛
  • 手足のしびれや痛み 
  • 不眠
  • イライラ、情緒不安定、気分の落ち込みや意欲低下、抑うつ
  • むくみ
  • 月経異常
  • 性交痛
  • 尿失禁
  • 喉の乾き など
関節リウマチ

関節リウマチ(RA)は、免疫異常によって体の関節が炎症を起こし、関節に腫れや痛みといった症状が起こる病気です。進行すると、軟骨や骨が破壊されることで関節としての機能が失われ、関節の変形が起こります。

手足の関節に症状がよく見られ、片方だけでなく左右の関節で同時に症状が起こりやすいことが特徴です。腫れや激しい痛みの他にも、発熱、食欲がない、疲れやすいといった全身症状が見られます。

他の関節の病気と異なる点としては、関節リウマチは関節を動かさなくても痛みが生じます。

関節リウマチの原因は不明ですが、遺伝的要因や、喫煙、歯周病などの環境要因が関係しているのではないかといわれています。細菌・ウイルスの感染、ストレスや過労、ケガなどをきっかけに発症することもあります。

女性に多く、男性の約4倍で見られます。発症年齢は40代がピークで、次いで50代、30代と続きます。

関節リウマチに似た「シェーグレン症候群」

関節リウマチと似ている疾患に「シェーグレン症候群」があります。

シェーグレン症候群は、免疫のバランスが崩れることで涙腺、唾液腺など全身の外分泌腺に慢性的な炎症が起こる病気です。ドライアイ(眼乾燥)やドライマウス(口腔乾燥)などの乾燥症状が起こり、この他にも、関節や皮膚、消化管、腎臓などにもダメージが及ぶことがあります。

手指の関節や膝関節の痛みなど、関節リウマチと症状が似ているため専門医でも鑑別が難しい病気です。

シェーグレン症候群は、指関節を中心として関節痛が起こることがありますが、関節リウマチに比べると炎症が少なく熱感がないこと、指の第2関節によく見られることが関節リウマチとの違いです。

明確な発症メカニズムはわかっていないものの、中年以降の女性が発症しやすいといわれています。

線維筋痛症

全身に筋肉痛が起こる症状は、運動などによるものや、インフルエンザなどの急性感染症の影響によるものを除けばそれほど見られません。

体のあちこちの痛みが関節痛ではなく筋肉痛であれば、線維筋痛症による慢性疼痛(数か月〜数年間に続いたり再発を繰り返したりする痛み)の可能性も考えられます。

線維筋痛症については、この後の項目で詳しく解説します。

体のあちこちが激しく痛む線維筋痛症とは?

体のあちこちが激しく痛む線維筋痛症とは?

線維筋痛症は、体の広範囲に激しい痛みが繰り返し起こる慢性疾患です。

痛みが生じる範囲は全身に及び、体のあちこちが痛む場合もあれば、一部が痛む場合もあります。痛みの種類や程度は人によって異なり、「ズキズキする痛み」「ヒリヒリする痛み」「刺すような痛み」「切りつけられるような痛み」「焼けるような痛み」などさまざまです。

天候や時間帯の変化、ストレスや心の状態も、痛む部分や強さに影響するといわれています。

2011年のインターネット調査によれば、線維筋痛症の患者は国内に推計212万人といわれていますが、実際に診断を受けているのは数万人ともいわれ、まだ一般的にはあまり知られていない病気です。

線維筋痛症の原因は未だにわかっておらず、激しい痛みがあるものの、血液検査や画像検査では異常が見つからないため、何か所もの医療機関を転々として、つらい思いをしている人も少なくありません。

  • WPI(広範囲疼痛指数)、SS(症候重症度)と呼ばれる独自指標でも評価
  • 症状が3か月以上続いている
  • 他の疾患ではない(関節リウマチ、シェーグレン症候群、悪性腫瘍など)

線維筋痛症は、上記の3つの条件で診断します。

WPI(広範囲疼痛指数)は、全身の19か所のうち、最近1週間のうちに痛みが生じた場所を点数にしたものです。SS(症候重症度)は、痛み以外の症状を重症度によって数値化するものです。

線維筋痛症は女性に多い疾患

線維筋痛症は、1:4.8の割合で男性よりも女性に多く見られます。推定発症年齢は約44歳で、患者平均年齢は約52歳です。

50代に多く見られるものの、10代で発症する人もおり、全年齢層にわたって見られます。

線維筋痛症の症状

線維筋痛症は、全身の激しい痛みの他にもさまざまな症状が見られます。

  • 筋肉痛や関節痛、頭痛
  • 体のこわばり
  • 疲労感や倦怠感
  • 動悸
  • めまい、しびれ、耳鳴り
  • 体の冷え、ほてり、微熱
  • 足のむずむず(むずむず脚症状)
  • 睡眠障害
  • 不安、抑うつ
  • 乾燥症状(ドライアイ、ドライマウス)
  • 便秘や下痢
  • 頻尿 など

症状の現れ方は人によっても異なり、強く現れやすい症状に合わせ、薬を使い分けて治療します。

線維筋痛症の原因・痛みのメカニズム

線維筋痛症の原因は未だに不明です。ただし、痛みの原因は筋肉や関節、骨などではなく、脳や脊髄などの中枢神経系にあることがわかっています。

線維筋痛症の痛みは「痛みを感じる仕組み」の働きに異常があることで、起こるといわれています。

通常、痛みは脳の神経細胞が脊髄を介して「痛い」という信号をキャッチすることで生まれます。

痛みに関連する神経の経路には「痛いという信号を脳に伝える経路」と「痛いという信号を抑える経路」の2つがありますが、このどちらに異常が起こっても、激痛が生じます。

線維筋痛症の治療

線維筋痛症は、痛みを抑えるデュロキセチンやプレガバリンといった薬などを使った「薬物治療」の他、「非薬物治療」も合わせて行います。

非薬物治療では有酸素運動、マッサージ、認知行動療法、ヨガ、マインドフルネス、太極拳、生活の改善などの中から、自分に合ったものを取り入れます。

体のあちこちが痛む場合は何科を受診すればいい?

体のあちこちが痛む場合は何科を受診すればいい?

体のあちこちが痛む場合、考えられる原因に合わせた科を受診するといいでしょう。

  • 何の病気かわからない場合……内科
  • 更年期障害の可能性が考えられる場合……婦人科
  • 関節リウマチの可能性が考えられる場合……リウマチ科、膠原病科、内科、整形外科
  • 線維筋痛症の可能性が考えられる場合……総合診療科、リウマチ科、ペインクリニック、整形外科、心療内科など

もしも何の病気か判断が難しい場合は、内科を受診しましょう。

線維筋痛症の場合は、日本線維筋痛症学会のホームページに「診療ネットワーク」という線維筋痛症を診療可能な全国の医療機関のリストがあるので、ここをチェックし、近くにある医療機関を探してみましょう。

また、痛みを総合的に診てくれる「集学的痛みセンター」という医療機関もあります。

つらい全身の痛みは放置せず早めの受診を

体のあちこちが痛むとき、風邪やインフルエンザによる関節痛、激しい運動や重労働が原因であれば、そこまで心配する必要はありません。安静にして、しばらく様子を見ることで改善していくケースが多いでしょう。

しかし、全身の痛みが長く続く場合は、何かしらの病気が隠れている可能性があります。痛みはそれ自体がストレスになるため、我慢せずに早めに病院を受診して、適切な治療を受けることが大切です。

※この記事は2023年3月の記事を再編集して掲載しています。

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