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福井県の鉄道3社が連携 経費削減、運転士不足解消、利用者還元を果たせるか

NEWSポストセブン / 2024年6月15日 7時15分

 福井県では、2016年から福井鉄道とえちぜん鉄道が田原町駅を境に相互乗り入れを実施。このような異なる鉄道会社間での相互乗り入れは、東京や大阪といった大都市圏では当たり前の光景になっている。しかし、地方都市で異なる鉄道会社による相互乗り入れは少ない。

 こうした鉄道会社の垣根を越えた連携が福井県では取り組まれてきたが、北陸新幹線の延伸によって新たにハピラインふくいが誕生し、改めて3社による協力体制を築く機運につながっている。

「ハピラインふくいが誕生した3月には3社共通で使用できるきっぷの販売をしましたし、誘客キャンペーンなども3社合同で実施しています。そうした利用促進の目的もさることながら、同協会における当面の課題はなんと言っても運転士不足を解消するための採用面です。これを機に改善する取り組みを加速させていきたいと考えています」(同)

 働き方改革により、鉄道・バスといった交通業界では運転士不足が問題化している。運転士がいなければ、当然ながら列車を走らせることはできない。その影響から、鉄道事業者はそれまでのダイヤを組めず、各社は減便で対応している。しかし、それも限界に近づきつつある。

 福井県鉄道協会の3社のうち、特に福井鉄道の運転士不足は深刻だ。その理由は福井鉄道の特殊な事情が背景にある。

 福井鉄道は市内中心部が軌道線と呼ばれる路面電車で、郊外は通常の鉄道として運行されている。路面電車区間を運転するには乙種電気車運転免許が、鉄道区間を運転するには甲種電気車運転免許が必要になる。つまり、2つの免許がなければ福井鉄道の運転士になれない。

 福井鉄道は特殊な事情を抱えるが、だからと言ってえちぜん鉄道・ハピラインふくいも決して楽観できる立場にはない。そうした危機感の高まりもあり、福井県鉄道協会が3社の連携を模索する団体として立ち上がった。

 気になるのは、福井県鉄道協会の設立によって3社が将来的に統合する可能性だが、「福井県鉄道協会の設立は、統合を見据えた動きではない」(同)と担当者は言う。

地方で複数の鉄道会社が連携する動き加速か

 同じ地域を営業範囲とする鉄道会社が複数社あれば、運賃やサービスなどを競い合うことになる。それは利用者にメリットをもたらすこともあるが、人口減少・少子高齢化で利用者減になっている昨今は共倒れをするリスクも高まっている。

 そうした潮流を踏まえると、福井県鉄道協会のように連携を模索することで利用者還元をすることもひとつの選択肢だろう

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