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不妊治療の「始めどき」「やめどき」 日本は先進国の中でも「極めて遅れている」現実、男性の意識改革も喫緊

NEWSポストセブン / 2024年6月14日 16時15分

 こうした不妊治療だけでなく、医療機関に通わずに妊娠の可能性を高める「妊活」という言葉も当たり前に使われるようになった。

「食べ物や生活習慣に気を配ることを妊活と呼ぶことが多いですが、定義はありません。タイミング法など初期ステップの不妊治療を妊活に含むケースもあります」(河合さん)

 増える不妊治療に、一般化する妊活。背景には、社会の変化に伴う女性のライフスタイルの変化がある。

「晩婚化とそれに伴う出産の後ろ倒し、いわゆる晩産化が大きく影響しています。女性の社会進出が加速し、キャリアをある程度形成してから妊娠、出産、そして育児をと考える女性が増えているのです」(岡田さん・以下同)

 日本産科婦人科学会の統計によると、不妊治療を最も多く受けているボリュームゾーンは39才の女性だが、この数字について岡田さんは、「39才というのは“遅くとも始めてほしい”タイミングです」と指摘する。

 現在、体外受精の治療が保険適用になるのは、治療開始時点の女性の年齢が43才未満の場合。ただし、42才までなら全員が同じ条件というわけではない。39才までの場合は、子供1人に対して6回まで保険適用範囲でトライできるが、40才以上の場合は半減する。

「40才以上で初めて体外受精でお子さんを持つかたは、平均して8〜9回、体外受精を行うというデータがあります。その一方で保険適用は3回まで。40才から始めると、保険適用の範囲をはみだしてしまう可能性は高い。

 一昨年、製薬会社が日本を含むアジア6か国で不妊治療に関する実態調査を行ったところ、日本では、子供を希望してから治療を経て妊娠するまでの平均期間は6.4年で、治療を受ける36才以上の患者の割合は最も高かった。実際、39〜40才から治療を始めて“もっと早く始めればよかった”と口にされるかたは少なくありません」

不妊の当事者は女性だけとは限らない

 保険適用によって金銭的な問題は若干の改善がなされたが、時間的な問題は残されたまま。こうした年齢による線引きの裏側には医学的な根拠がある。日本では、35才以上の初産と40才以上の経産婦の出産を高齢出産と定義づけており、これはデータに基づき、妊娠・出産に伴うリスクを鑑みてのもの。

「ひとつは胎児の染色体異常があります。35才を過ぎるとその発生の確率は上がります。染色体異常の病気の中で年齢の影響を受けやすいのは、ダウン症や18トリソミー、13トリソミーです。染色体異常があると妊娠が成立しにくくなり、この3つ以外がある受精卵は生存の可能性がほとんどありません。高齢出産では流産率も高くなりますが、その原因の多くは胎児の染色体異常です」(河合さん)

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