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特殊清掃業者が見た「凄絶な現場」と「最もきれいな孤独死」 自分の死期を悟ってすべての持ち物を処分した70才前後女性の“散り際”

NEWSポストセブン / 2024年6月16日 10時58分

 自宅で亡くなり、誰にも見つからず長期間放置されると遺体が腐り、異臭が出て、周辺住民が気づいたときにはまさに悲惨な状態となる。特に夏場は遺体の腐敗が早くて大変だという。

 凄惨極まる現場に乗り込み、清掃や洗浄、脱臭を重ねて汚れやにおいを落とし、部屋を元通りに回復させる──その作業を行うのが「特殊清掃業」だ。近年注目が高まり、特殊清掃業をテーマにした漫画や、実際の現場をルポした特集などが盛んに展開される。特殊清掃業を営む武蔵シンクタンク株式会社代表の塩田卓也さんが言う。

「弊社の業務も肌感覚ではありますが、10年前の2倍ほどになっています」

 特にその勢いを加速させたのが新型コロナの蔓延だ。

「コロナで人と人との接触が少なくなり、健康状態の確認が難しくなったことも影響しています。物件とかかわるオーナーや不動産管理会社、司法書士や弁護士などからの依頼が多く、遺品整理と特殊清掃の費用はワンルームで30万〜60万円、3LDKで100万円程度です。遺体や住居の損傷が激しければ200万円を超えることもあります」(塩田さん・以下同)

 ひとり暮らしの高齢者ばかりでなく、最近は「同居」のケースも目立つという。

「2階に住む親と1階に住む子の交流が少なく、親が息絶えたことに子が1週間気づかなかったり、リビングで亡くなった夫を認知症の妻が“お父さんが寝たまま臭くなった”と見守り、1か月間放置したケースなどが実際にありました。親の介護をする50代の子の体調が急変して亡くなり、続けて80代の親が亡くなる“ダブル孤独死”となることもあります」

 超高齢化に伴って孤独死のパターンが多様化する中、物件を借りるハードルも高くなっている。

「いまは物件を貸す側が孤独死を恐れてシビアになり、100万円から200万円ほどの補助金を積まないと高齢独居には貸せないという不動産会社やオーナーが増えています。都営住宅やURも高齢独居は完全禁止です。入居の際、火災保険のオプションである“孤独死保険”への加入を求められるケースもあります」

 ひとり暮らしでセルフネグレクトに陥り、室内がゴミ屋敷となった末に孤独死して、遺体と大量のゴミの腐敗が強烈な悪臭を放つ現場も少なくない。

「これまでで最も壮絶な現場は、神奈川県の山間に立つ一軒家でした。ゴミ屋敷に猫が多頭飼いされ、大量の糞尿とゴミの山の中で50代女性が孤独死し、費用はトータルで400万円ほどかかりました」

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