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【家族に看取られなくても惨めとは限らない】「孤独死」は極上にも悲惨にもなり得る どちらになるかを決めるのは「生き様」と「準備」

NEWSポストセブン / 2024年6月17日 10時59分

自らの死後をきちんと決定し、周囲に知らせておく。その準備が理想の孤独死に近づく一歩になる(写真/PIXTA)

 孤独死に確定した定義や全国統計はないが、東京都監察医務院が公表するデータによれば、23区内におけるひとり暮らしの65才以上の自宅での死亡者数は2003年の1441人から2020年は4207人と約3倍に増えたとされる。独居の高齢者が増える中、誰にも迷惑をかけずにひとり旅立つことは難しい。そんななか、迷惑を最小限に抑えつつ、自宅で最期を迎えるにはどうしたらいいのか。【全4回の第4回。第1回から読む】

 各種見守りサービスや孤独死保険、リフォームなど、個人の努力で孤独死に備えることは可能だ。また、自治体など公的な機関が果たす役割も大きい。だがそのうえで、幸せな孤独死を迎えるために最も大切なのは、生きているうちに「孤独」を避けることではないだろうか。特殊清掃業を営む武蔵シンクタンク株式会社代表の塩田卓也さんが言う。

「喫煙や飲酒、暴飲暴食など寿命を縮める要因はいくつかありますが、やはり最も寿命に響くのは孤独だといわれます。実際に現場を見ていると、孤独死するのは身勝手でわがままで、周りと協調していない人が多い。だから悲惨な孤独死を迎えないためには、孤独にならない状況を作り出すことが求められます。人とのつながりやコミュニティーを作ることが何よりも大切なんです」(塩田さん)

 その人がどんな人生を歩んできたのか。孤独死した段階で、そこまでの人生が読み取れるという。あるとき、塩田さんが孤独死した高齢男性の住居を掃除していると、近所の子供が駆け寄ってきて、部屋の前に置かれた自転車を指さしてこう言った。

「これ、おじいちゃんが乗っていたチャリンコだから、一緒に片づけてあげてね」

 塩田さんが話す。

「その言葉を聞いて、おじいさんは近所の子供をかわいがり、いい関係を築いていたのだなと思いました。実際に孤独死の現場では、近所の人に『においがすごくてすみません』と謝ると、『あのかたのなら構いませんよ』と丁寧に言われる場合と、ひどく苦情を言われる場合があります。そんなとき、故人がご近所とうまくつきあっていたのか、それとも孤立していたのかがわかります。死後に生き様が見えてくるんです」

家族に看取られなくても「悲しくて惨め」とは限らない

 これから先、超高齢化や価値観などの変化によって死に方が多様化するとともに、生き方もますます多様化すると考えられる。孤独死をテーマにした『死に方がわからない』の著者で、文筆家の門賀美央子さんが言う。

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