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佐原ひかりさん、新しい“お仕事小説”についてインタビュー「働くときに大事なのは、絶対にしたくないのは何かということ」

NEWSポストセブン / 2024年6月16日 16時15分

 学生時代は卒業したら一般企業にまっすぐ就職して勤めるのが正しい、働くってそういうイメージだとなんとなく思い込んでいましたが、実際にはそんなことはなくて、世の中にはいろんな仕事があり、いろんな働き方ができるはず、というエッセンスを小説に入れられたらなと思いました」

 学生が就職活動するとき、自分が働くことになる会社にどんな人がいて、どういう雰囲気で働けるかなんてわかりようがない。わからない以上、入った会社の社風が合わなくて辞めることも、本当は避けようがないはずだ。

「キャリアチェンジのときに、マイナスのことは要素として含まないようにしよう、という考え方が一般的ですけど、本当に大事なのは、自分が嫌なこと、絶対にしたくないのは何かということの方じゃないかと思うんです。私がいちばん無理だったのはワンフロア150人で電話が鳴りっぱなしみたいな環境でした。その経験から、キャリアチェンジの際は、職場の環境について事前に訊ねることを心がけています」

「読んでいるときに風通しのいいものを、と要所要所で風を吹かせ」

 小説に挿入される、みなとと飛鳥が書く手紙が魅力的だ。彼らが何を大切にして、何が好きで、どういう人柄なのかがわかる書きぶりである。メールやLINEでやりとりする時代に文通とは古風だが、佐原さん自身も、実際に文通をしているという。

「1人は、私の地元の神戸で仲良くなった友達で、その後関東に転勤したのですが、誕生日にサプライズで手紙とプレゼントを贈ったのがきっかけでした。

 もう1人は読者さんで、さっきお話ししたエッセイに、『もし文通相手がほしい人がいたら連絡ください』って書いたら、本当に来たんです! 少し年齢が上のかたで、すごい達筆で、綺麗な便箋に書かれた手紙が出版社経由で届いて、お返事して、それから普通にやりとりしています」

 さらにさかのぼると、小学生のときにも同じクラスの友達と近所の神社の木の洞に手紙を入れて交換していたこともあるそうだ。手紙が雨に濡れて止めてしまったが、このエピソードは少し形を変えて、小説の中のみなとと飛鳥のやりとりに活かされている。

 自分は書いたことを忘れていても、受け取った相手は覚えていて、ふとした瞬間に自分の手元に戻ってくることもある。そんな手紙ならではの面白さも描かれている。

「この本が出て、文通ブームが来たらいいな、と思っていたんですけど、郵便切手が値上げするんですよね! X(旧Twitter)では、『値上げするのはしかたないにしても、手持ちの可愛い84円に組み合わせられるように、1円切手のバリエーションを増やしてほしい』というポストがバズってました」

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