1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

免許返納はしたけれど…… 運転をやめたことで認知症の症状が出始めることも

NEWSポストセブン / 2024年6月22日 16時15分

 野老さん宅の近くでは、さらに重大な問題も発生していた。

「近くにも、子どもたちから懇願されて免許を返納した高齢夫婦がいましたが、唯一免許を持っていたおじいさんが返納した直後、おばあさんの容体が悪くなったんです。車で病院へ行こうにも免許がない、タクシーもいない、もちろん救急車を呼ぼうとしますが、過疎地域で高齢者が多いという土地柄、救急車だって”出払っている”とかですぐに来られないんです。おばあさんはその後、近所の方経由でなんとか車を呼んで病院に急行し、無事でした。こういう実情を、高齢者から免許をとり上げろ、と盛んに発信するメディアや、役人は全くわかっていない。でもそれをいうと、老人の味方かと怒られる。声も出せず悩んでいる私のような人は、絶対に少なくないはず」(野老さん)

 こうした声は、高齢ドライバーによる事故が相次ぐ中では「高齢者の味方か」とか、またあるいは「若者が高齢者に殺されていいいのか」という過激で極端な意見に封殺されてしまう。高齢ドライバーが若者を殺したり、怪我をさせているのは事実だからだ。しかし、我々だって、そのうち高齢者にはなるし、高齢者人口は、今後もますます増え続ける。その段階になっても、今行われているような「高齢者の封じ込め」とも言える政策について、その時高齢者である我々は納得できるのだろうかと考えると、一抹の不安がよぎる。もちろん、免許を返納したことで、家族に送迎してもらう事ができる環境があれば良いが、核家族化が進んだ日本で、それは非現実的と言うほか無い。

「運転する」という権利をとりあげるのであれば、その代替手段が付与されなければならない。そこをおざなりにして「年寄りは運転するな」の大合唱をやっているようだと、そのしっぺ返しは我々自身に返ってきて、絶望し、苦しむのは将来の我々なのかもしれない。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください