【逆説の日本史】最近世間を騒がせた二つのトピックス「高野連の発表」「大東亜戦争の呼称」について考察しよう
NEWSポストセブン / 2024年6月24日 16時15分
ウソと誤解に満ちた「通説」を正す、作家の井沢元彦氏による週刊ポスト連載『逆説の日本史』。近現代編第十三話「大日本帝国の確立VIII」、「常任理事国・大日本帝国 その15」をお届けする(第1421回)。
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一九一五年(大正4)十二月、インド独立の闘士ラス・ビハリ・ボースが日本から退去を求められた時点で、当時日本の進むべき道の有力な選択肢の一つであった「英米協調路線」。その是非について分析する前に、最近話題になった二つのトピックスについて触れさせていただきたい。「特別編」やさまざまな「脇道」に逸れてなかなか先に進めない状態が続いており、「早く先に行けよ」という読者も大勢おられると思うが、ここはご容赦願いたい。
まず一つは、高野連(公益財団法人 日本高等学校野球連盟)による、「第106回全国高等学校野球選手権大会第2回運営委員会開催結果について」という公式発表についてである。同発表は、「阪神甲子園球場で8月7日に開幕する第106回全国高校野球選手権大会に向けた第2回運営委員会を4月19日に開き、試合を午前・夕方に分ける2部制を一部日程で導入するなど暑さ対策の取り組みを決めました」という内容で、酷暑対策の一環として大会第一日目~三日目の試合数を一日三試合とし、各試合を午前と夕方に分けて実施する「二部制」を導入。さらに「午前」の部と「夕方」の部の間も三時間以上空けて実施する、というものだ。
ここに来て、ようやく頑迷固陋な高野連や朝日新聞社も腰を上げたということだろう。ただ、まだまだ甲子園開催に固執しているようで、これでは高校球児の健康に一〇〇パーセント配慮したとは言えまい。私がかねがね主張しているように、空調の効いたドーム球場に会場を移すか、あくまで甲子園にこだわるならば開催期間を延ばしてもいいから全試合ナイターにすべきだろう。腰を上げたことは評価するが、まだまだ商売優先の姿勢が目立つ、これで高校球児に犠牲者が出たら誰が責任を取るのか、と言っておこう。
二つ目は、本連載の第一四一七回で述べたことと密接に関連する問題だ。〈なぜ「大東亜戦争」と呼んだのか 戦没者追悼式で自衛隊が投稿、浮き彫りにした課題〉という朝日新聞のウェブメディア「The Asahi Simbun GLOBE+」(公開日:2024.04.20)というタイトルの記事である。
〈陸上自衛隊大宮駐屯地(さいたま市)の第32普通科連隊が4月5日、X(旧ツイッター)の部隊の公式アカウントで「大東亜戦争」という用語を使って投稿し、8日に削除した。投稿は、硫黄島(東京都)であった日米合同の戦没者追悼式を伝えた。木原稔防衛相は大東亜戦争という用語を使った投稿の削除について「一般に政府として公文書に使用していないことを踏まえた」と説明した。この問題について、OBを含む自衛隊の隊員らの反応は「硫黄島が激戦の地であった状況を表現するため、当時の呼称を用い、その他の意図は何らなかった」という木原防衛相の説明とほぼ同じだった。ただ、日本を取り巻く安全保障環境が悪化するなか、自衛隊員だけではなく日本人全体が考えなければならない課題も浮き彫りにした。〉
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