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牛肉、うなぎ、あさり、鶏肉など…繰り返される「産地偽装」「産地ロンダリング」のカラクリ

NEWSポストセブン / 2024年6月25日 16時15分

 また、畜産は国内で育ったといっても、飼料の約75%は「外国産」であることも知っておきたい。

「鶏の主なえさであるトウモロコシに至っては、ほぼ100%の割合。主な輸入国はアメリカやブラジルです」(鈴木さん)

国内製造の表示は業界の都合

「長いところルール」と同様に、カラクリが潜むのが「国内製造」という表示だ。

「『国内製造』とあっても、原材料が必ずしも『国産』ということではない。あくまでも、国内で製造されたというだけです。

 たとえば、そばの乾麺で、中国産のそばの実を輸入して日本で製粉している場合は『中国産』と書かずに『国内製造』と書くことが食品表示法で定められています」(垣田さん・以下同)

 同様に、中国産の小豆を国内で加工したあんこを使ったまんじゅうの場合は、その原料原産地表示には「あん(国内製造)」と書かれるのだ。

 なぜ、こうした紛らわしい表示が義務づけられているのか。

「業界側の都合が通った結果です。こうした法律の審議段階では食品業界や学者、消費者団体などの代表者が審議会で意見を出し合いますが、消費者団体の割合が出席者の2割程度にとどまる一方、食品業界の関係者はこぞって出席し、自分たちが利益を得るために口々に意見を主張する。そのため、どうしても業界に都合がいい法律になってしまう」

 そうした“利権”のもと多くの外国食品が「国内製造」とされてきたが、米の加工食品については別だという。

「外国産を日本で製粉した米粉の場合、それは『米(外国産)』と書かなければならない。米は日本の主食なので、特別扱いされているのです」

「出戻り国産」という新たな危険も

 国産と輸入ものでブランド力や値段が大きく異なる食品は、特に産地偽装やロンダリングがされやすい。

「昨年12月には、北海道内で展開する3店舗で韓国産めばちまぐろを宮城県産と偽装して販売したとして、福岡市の業者に対し、食品表示法に基づく是正を指示しています。

 また、この業者はまぐろのほかにもインド産のバナメイエビをエクアドル産と偽装するなど、7商品計400パック以上で産地を偽り販売していたとされています」(奥窪さん)

 2019年にも、秋田県横手市の水産物卸会社がメキシコ産のまぐろを国内産として、県内のスーパー3店に合計3.4tあまりを納品していたことが明らかになっている。

 水産アナリストの小平桃郎さんは、水産物で横行する産地偽装の背景についてこう指摘する。

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