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《時代を敏感に感じ取ってきた女性芸人たち》日常的だった「容姿いじり」からの脱却、変化するその環境や意識

NEWSポストセブン / 2024年6月26日 7時13分

《ブスとかデブとか、はっきり言っちゃうと前はウケてたけどいまはあんまりウケなくなってるのを感じてて》
《(容姿いじりは)時代の流れで大衆的なお笑いではなくなった》

 2020年10月には、今年3月に解散した尼神インターの誠子(35才)がインタビューで、「容姿をいじるネタはもうやめました。(相方の)渚が私をたたくこともないし、ブスって直接言うことも、もうないです」と話し、「ブスいじり」の封印を宣言した。

 今いくよ・くるよの全盛期から平成、令和と移りゆくなかで、女芸人を取り巻く環境や意識は大きな変化を迎えているようだ。お笑い評論家のラリー遠田さんが語る。

「昔は夫婦漫才や女性漫才で容姿をいじることが盛んでした。一般社会で他人の容姿について否定的なことを言うのはマナー違反ですが、芸人が芸人に対して笑いをとるために、暗黙の合意のもとで容姿いじりをすることは普通に行われ、女芸人が“ブス”や“デブ”を自らネタにしたり、ほかの芸人に容姿をいじられることは日常的でした。ただし、最近は露骨な容姿いじりは少なくなった。特に若い人ほど容姿いじりを避ける傾向があります」

 女芸人はかつて、当たり前のように「ブス」「デブ」「非モテ」をいじられ、実際そこで爪痕を残すことがブレークへの足がかりとなったケースも少なくない。彼女らの本音に迫った書籍『女芸人の壁』(文藝春秋)著者でライターの西澤千央さんが執筆の動機を語る。

「旧態依然のお笑い界の中で、女芸人は日々いろんなことに葛藤しています。そんな世界にひそむ性差別を追及したくて、多くの女芸人に話を聞きました」

 自身も元々はお笑いファンで、1990年代から劇場にも通っていたという西澤さんは、「お笑い界は圧倒的に男社会です」と指摘する。

「これまでのお笑い界は服を脱いだり痛いことをしたりなど、体を張って面白いことをする男芸人こそ“芸人”とされてきました。ですのでそれができない“女では笑えない”という壁もあった。2017年に女芸人だけのコンテスト『THE W』が始まりましたが、女だけでやってどうするんだという空気感はあったように思います。

 昔は楽屋も男女同じで、女芸人がトイレで着替えようとすると『お前、女を出すなよ』と言われる人もいたそうです。女芸人側も“女として見られたくない”との気持ちが強く、お笑いコンビ・Aマッソの加納愛子さんは、『最近まで男芸人がいる楽屋で化粧ができなかった。女感を出したくなかった』とインタビューで話していました」(西澤さん)

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