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《旭川女子高生殺害》事件直前に助け求めたコンビニ店を責める正義の暴走 他のコンビニ店員「時給1000円とかでそこまで担うのは勘弁」

NEWSポストセブン / 2024年7月7日 16時15分

 古い事件だが2008年、東京都港区のコンビニに刃物を持った男がレジの金をよこせと脅したが、55歳のアルバイト店員が押し問答の末に「ぼく、アルバイトォォォ!」と叫んでカウンターの上にジャンプ、それに驚いた男が逃走するという事件があった。

 先のベテラン店員もこの事件は古くネットで知っていたが「笑い話ではない」と話す。

「ネットのネタにもされていますが、幸い撃退できただけで危険です。笑い話じゃない」

 また警察の対応にも疑問があるという。

「通報しても警察だってコンビニでたむろする不良集団とか、よほどの事件が起きなければなあなあで済ましているのが現実ですよ。談笑して注意しておしまい、とかね」

命がけの行動は仕事のうちに入っていない

 コンビニ店員の被害は珍しくなく各地で起きている。2023年8月には東京都足立区のコンビニで男が突然暴れ出し40代女性店員と60代男性店員が刃物で切りつけられて重症を負った。また2024年2月には札幌市のコンビニで「男性店員に対応されたくない」という理由で男が40代男性店員と50代女性店員を刃物で切りつけ、40代男性店員の方が亡くなられた。同年5月にも東大阪市のコンビニで万引き犯を追いかけた30代店員が万引き犯の返り討ちで暴行を受け全治2週間の怪我を負った。

 

「詐欺を防いだとか、強盗を説得したとかで感謝状なんて報道もありますけど、私個人としては市民としてできる限りのことはしても、そういう命がけの行動は仕事のうちに入っていないと思っています。見て見ぬふりはしませんが、限界はある」

 彼の紹介で30代の女性アルバイトからも同様の話をうかがった。

「旭川の事件は私も許せませんしかわいそうですけど、コンビニの店員がそういう状況で必ず事件を防げるとは思いませんし、それを責めるのは酷だと思います」

 本当に難しい問題で、私たち一般消費者がコンビニ店員にあれしろ、これしろで防犯まで「義務」のように押しつけるのは、ましてネットで叩くのは筋違いのように思う。「通報しておけば」は正論だが、自分ごとに置き換えても店員だったとして通報したかどうか、自信を持って答えることは筆者にはできない。

正論の目的外利用が正義の暴走へ

 もはや社会の「インフラ」とみなされて久しいコンビニ、商品販売にまつわる作業だけでなく宅配便やチケットの発券、銀行機能から税金の支払いまで、それこそどこまでコンビニは担う気なのか、いや担わせる気なのかと思わされるほど多種多様な仕事内容である。

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