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【世界中で猛威を振るうトコジラミ】日本にいる多くは薬剤耐性を持つ「スーパートコジラミ」 集合住宅では隣家から侵入するリスクも

NEWSポストセブン / 2024年7月12日 11時15分

「1つ目は薬剤耐性を持った『スーパートコジラミ』の出現です。2000年代になると従来の薬剤が効かないトコジラミとして先進国で再興し、いまや日本にいる多くがスーパートコジラミとされます。2つ目がインバウンドの急激な復活。トコジラミの卵や成虫は旅行者や物流にくっついて拡散するため、アフターコロナで活気づいた海外からの人流とともに広がっています。宿泊施設に限らず、一般家庭でも油断できません」

 凄まじい繁殖力で、気温25〜30℃で活発になるという。国立環境研究所の生態リスク評価・対策研究室長、五箇公一さんが話す。

「空調が行き届き密閉された夏場の室内は、トコジラミにとって好適地なんです。しかもネズミやクモといったトコジラミを捕食する天敵も室内にはいませんから、駆除しない限りはネズミ算式に数が増え続けます」

 気になるのは人体への影響だろう。刺されるとどうなるのか。

「トコジラミは人間を宿主として吸血します。刺された人によると、何も手に付かないほどの激しいかゆみが長く続いて、トラウマになるレベルだとか。感染症を媒介していないのが唯一の救いとはいえ、健全な生活を阻んで精神的ダメージを与えるという意味で、トコジラミは立派に危険な害虫です」(五箇さん)

 人によって不眠症や神経障害、発熱などの症状が出ることも。かきすぎて皮膚に傷がつき、細菌の二次感染で化膿することもある。被害を防ぐためには、何より家へ持ち込まないことが重要だが、人がいればどこにでもすめるのがトコジラミ。「日本中どこにいてもおかしくない。その心構えが大事です」と、五箇さんは説く。

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 集合住宅であれば、隣家で発生したトコジラミが侵入するリスクもある。できるだけ早く発見し、早期に駆除することが鉄則だ。駆除方法にはいくつか方法がある。まずは新しい殺虫成分・テネベナール(一般名・ブロフラニリド)が入った殺虫剤。効果も安全性も高く、トコジラミ用として市販されている。

「ハエやゴキブリ用のエアゾールはトコジラミに効果がないばかりか、嫌がって分散してしまうので被害が広がります。大量に繁殖している場合は業者に頼ると安心です。悪徳業者もいるので、施工方法などを比べて信頼できる業者を選んでください」(谷川さん)

 トコジラミは100℃で数秒、79℃で5分、60℃で10分以上加熱すると死滅するとされる。衣類やシーツ類は、高温の乾燥機を使って駆除することができる。

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