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医師らしい説明も安心材料だけど、「お元気そう」の言葉がどれほど心の薬か…オバ記者が体験した患者の疑心暗鬼と医師の優しい嘘

NEWSポストセブン / 2024年7月15日 16時15分

オバ記者の心を救った医者の優しい嘘

 年齢を重ねると、自分の健康についてさまざまな不安が生じてくる。そんななか医師の言葉が原因で、疑心暗鬼になってしまうことも──。『女性セブン』の名物ライター“オバ記者”こと野原広子が自身の体験を綴る。

 * * * 
 あの、いきなりですが、あなたは疑い深い方ですか? 私は、耳に優しいことや面白いことはマルっと信じるタチ。だからロクでもない男にひっかかったり、小金を騙し取られたりしたけれど、まぁ、そのくらいじゃ性格なんか変わらないよね。と思ってきたのに、そんな私でも疑り深くなるという話です──。

 あれは2年前の秋、大学病院で検査に次ぐ検査をした結果、「おそらく、卵巣がんのステージI」と宣告された。「がん」と言われたら誰でもビビるけれど、担当の女性医師Eさんは、「卵巣は全摘してみないと正確なことはわからない」と診察のたびに言うんだわ。この「わからない」が曲者でね。何をしていても、(私のお腹の中ではがん細胞が日々増殖しているんじゃないか?)という思いから逃れられないのよ。

 で、結果、お腹から子宮と卵巣を切り取って顕微鏡で見たら、がんではなく「境界悪性腫瘍」という曖昧な“デキモノ”で、この曖昧さがまた私の疑心暗鬼を増殖させたの。半年後にCT検査をして、1年後には内診をして、そのたびに「大丈夫です」とE医師はうなずいて、私もその都度、ホッと胸をなでおろすのよ。でも、一度目覚めた疑いはそう簡単に消えやしない。

 おまけに、手術から1年後には「すい臓に影があります」なんて穏やかじゃないことまで言う。こちらもがんではなくて「のう胞」という水疱で、悪性ではないと断言されたものの、心配・疑いは倍になったわけよ。

 疲れて起き上がれない日や、風邪が抜けずにいつまでもグズついたりすると「もしかしたら……」と頭の中に黒い雲が湧き、風呂上がりにクラッとしたり、腰痛になると、「いよいよ?」と切羽詰まった気になる。幸い、根が忘れっぽいから、楽しいことがあるとそのときはキレイさっぱり消えるけど、体調が悪くなるとまた……。

 それだけじゃないんだよね。67才といえば前期高齢者3年生で、疲れやすいし関節も軋む。目はかすむ。しばらく座って原稿を書いていて、立ち上がろうとすると「ん?」。とっさに足が前に出ない。やっと歩き出しても、右手と右足が同時に出るロボットみたい。もしかしてこれが老い? でも老いたことがないから確信が持てない。

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