《死者も発生》熱中症アラート発令でも止められない建設現場 「発注側は”金を出してるんだからやれ”」「熱中症になるなと言うくせに対策はない」の理不尽な現実
NEWSポストセブン / 2024年7月18日 16時15分
彼は「それにしても暑さが異常だ」とも言った。7月に入り地域によっては連日40度に迫る、時間帯によっては40度超える気温。実際の現場の体感ではそれ以上だろう。
昨年、日本は統計開始以降最も暑い夏となったが、2024年も同様の暑い夏が予想されている。世界的にもブラジルのリオデジャネイロで体感温度62.3度、インドのデリーで52.9度、メッカ(サウジアラビア)の巡礼で1000人超が熱波で死亡など報じられている。
ラニーニャ現象だ、ヒートドームだの要因は措くが、これまでの夏の暑さのつもりでいると命を落としかねないことは、多くの人が体感していることだろう。熱中症対策グッズも売れている。政府広報は「外出はできるだけ控え、暑さを避けましょう」「外出や屋外での運動及び長時間の作業をやめる」ことを推奨している。
しかし、そうは言われても外仕事、現場仕事の多くは「仕事」だからどうすることもできない。
たとえば国土交通省も『建設現場における熱中症対策事例集』、厚生労働省も『働く人の今すぐ使える熱中症ガイド』など、現場における熱中症に対する正しい理解を呼びかけているが、現実は「仕事だから我慢しろ」がまかり通っている。現場の方々も「仕事だから我慢するしかない」と作業するしかない。
今回の死亡事故はコンクリートの打設によるものだが、いわゆる「コンクリ打ち」は休めない。休んでいたら生コンが固まってしまう。まして気温が高いと固まるのも当然早まる。セメントやモルタルならもっと早い。物理的に休めない、過酷な仕事だ。
冒頭の会社とは別の建設会社、現場で働く作業員の方々にも話を伺った。それぞれ書き出す。
「我慢しているが、もう夏場は無理だと思う。命の危険を感じる。35度を超えたらファン付きの作業着だって熱気になってしまうので意味がない。逆に暑くて耐えられなくなる。それでも現場は休まずまわせと言われる」
「水分はこまめにとるし中身も電解質のものに変えたが、それでも厳しい。意識がとびかける。休憩をとれと言われるがとれないのにどうしろと。交代要員もいないところばかりで無責任な職長もいる」
「熱中症になるなと言うくせに対策はない。工期の遵守ばかり言われる。熱中症は労災対象と説明されるがその前に、そうならないようにして欲しい。この暑さで現状の休憩時間や現場の数では命は守れないと思う」
日本人みんな、命の危険があるという意識も大事
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