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「水と油」の関係だった夫・蒋介石と米国交渉役との間に立った宋美齢夫人の”人間力”

NEWSポストセブン / 2024年7月25日 12時10分

 憔悴しきった彼女を見た米国人たちは口を揃えて、

「是非、米国で治療に専念してください」

 と勧めたが、彼女はウンと言わなかった。

 蒋介石も、彼女が自分の傍らから離れることを承服しなかった。

 だが、毎晩ベッドで苦しみもがく姿を見るに見かね、「あれはがんなのではないか」と心配する周囲の言葉を聞くうち、蒋介石もいよいよ不安が募った。当時はがんは「不治の病」と決まっていたからだ。

 そうした折に、ルーズベルト大統領夫妻から手紙が届いた。「宋美齢夫人が病気治療のために訪米するなら、万全を期してお迎えいたします」という、好意的な内容だった。

 米国で治療すれば快癒するかもしれず、米国政府との親善が深まり、中国に対する援助も順調に進むに違いないという期待感が、蒋介石の背中を押した。

 1942年11月18日、宋美齢は医師と看護婦を従えて、米国政府が差し向けた特別専用機に搭乗し、米国へ向かったのだった。

【プロフィール】
譚ロ美(たん・ろみ/ロは王偏に「路」)
作家。東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。同大訪問教授などを務めたのち、日中近現代史にまつわるノンフィクション作品を多数発表。米国在住。主な著書に『中国共産党を作った13人』『阿片の中国史』『帝都東京を中国革命で歩く』『中国「国恥地図」の謎を解く』など。最新刊は『宋美齢秘録 「ドラゴン・レディ」蒋介石夫人の栄光と挫折』。

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