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体重は33キロに減り、電気も水道も止められて…22歳シングルマザー「ゴルフクラブ殴打殺人」 被害女性の母親が語る「犯人の主張に絶望」「なぜ娘が…」

NEWSポストセブン / 2024年7月23日 18時15分

 そんなときに現われたのが中田被告だったという。「入院まで家を使ってもらって良い」、と言われた里菜さんは、中田被告の住むマンションに身を寄せる。数日後、病院から入院可能の知らせが届き、里菜さんの母親は、娘に「明日迎えに行く」と連絡したのだが、その後異変が起きた。

「入院当日、娘と約束した14時に着くように、中田被告の家に向かっていたところ娘から突然『家を出る。中田被告には連絡しないで』という内容のLINEが来たんです。違和感を覚えて中田被告に連絡すると、『一方的に出ていくと言って出て行っちゃいました』と返答がありました。

 それでも心配なので、以前娘が110番通報した時にお世話になった刑事さんに連絡すると『フラッシュバックだろうから1週間くらい連絡しないでください』と言われたので、そうなのかと思い、言われた通りに連絡せず待っていたら、数日後にいきなり浪速警察署から連絡があり、娘が亡くなった事を知らされました。その後、刑事さん2人が自宅に来られ、説明を受けました 」

死の前月に残していた母親への手紙

 薬物依存の入院を控え、身を寄せていた場所で、自分の娘が突然亡くなったと知らされたのだった。

「実は中田被告は、娘の子供も預かりますよと言ってくれていたんです。結婚したい、3人で暮らしたい、とまで言ってくれてたんです。これで娘も幸せになれるのかなと思っていたのに、こんなことになってしまって、しかも殺された理由も納得できるものではありません」

 中田被告は法廷で「覚醒剤の売人と里菜さんがグルになって、自分を脅迫していた」と証言した。「でも本当に娘が売人とグルになっているのだとしたら、娘を殴ることで、売人から報復されると思うんです……」と、里菜さんの母親は中田被告の言い分に疑問を呈する。事件当時、指名手配中だった“売人”は、法廷で証言することもなく、現在、別件の高級車窃盗の罪で逮捕起訴されている。中田被告の主張する“脅迫”が存在したのか、法廷では語る機会のなかった“売人”に手紙を送っても返信はなかった。

「なんでこんな死に方を……」と、里菜さんの母親は再び声を詰まらせ、振り返った。

「娘には、私が仕事ばかりで育児をできていなかったことで、寂しい思いをさせたし、大人になり、娘もやっと結婚して自分の人生を幸せに送れるんだと思っていたら、DVを受けて。そこから逃れて風俗で働き始めたら覚醒剤をすすめられ……。私の勝手な想像ですが、娘は辛い人生やったやろうなと思う。殺害された前月、たまたま私に手紙を書いてくれていたんです。生きづらい人生やったにもかかわらず『産んでくれてありがとう。お母さんの子でよかったよ』って……。

 あのときこうだったら、と思うことはたくさんあります。私の再婚相手とのこともそうですし、役所の対応もそうです。娘が薬物から抜け出すきっかけがあったのに、そこに至る前に殺害されてしまった。中田被告から謝罪の言葉は受けていません。法廷では、裁判官や裁判員に向かって、娘の命を奪ったことに対して『申し訳ありませんでした』と言っていましたが、私のところにはありません」

 中田被告は懲役10年の大阪地裁判決を不服として控訴していたが、7月9日に大阪高裁は控訴を棄却。その後、中田被告は上告している。マンション居室という密室での死亡事件において、そこで起きたことを語れるのは、残された加害者だけ。里菜さんの母親は法廷での中田被告の言い分に納得できないままだ。

◆取材・文/高橋ユキ(フリーライター)

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