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【老老介護殺人】視力を失い、認知症が進んでしまった妻の節子さん デイサービスで家をあける近隣高齢者との浮気を疑われ… 「白杖で叩かれても周囲に頼ることができなかった」 涙ながらに吉田友貞さん(80)が振り返る殺害直前の介護の日々 

NEWSポストセブン / 2024年7月30日 10時56分

「前のマンションの部屋は3階でした。3階でエレベーターがなくて、階段の上り下りがもう大変だったみたい。手すりがなかったからね、危なかったんです。それで見つけた安い場所が今住んでいるここなんです」

 慣れ親しんだ場所を離れ、新しい場所で始まった生活は節子さんには厳しいものだった。

「節子は初めての場所で視力がどんどん悪くなったもんだから、周りが全然分からなくなっちゃったんです。前のところは長く住んでいたから、買い物も行けたし、近くのコンビニなんて1人でも行けた。近所の人もいて、知り合いもいるわけですよ。それが、こっちに来たら初めての人ばっかりです。最初に挨拶したぐらいなもんで、周囲との付き合いがなくなっちゃったんだよね。

 後から思うとね、僕としては1階だしスロープはあるし、バリアフリーになってるし、 いろいろなところに手すりもあるし、良いところだと思ったんだけどね。本人にはね、もしかしたら、あんまりだったのかもしれない。もっと近場で1階のところを探せばよかったとか、今となっては色々と後悔があります……」

「買い物」に行っただけでも浮気を疑われて

 こう話しうつむく吉田さん。視力だけでなく、認知症も節子さんを蝕んでいた。

「ここに引っ越す少し前からちょっとおかしかったんです。言うことがね。話していると、突然、時系列がおかしくなるんです。急に、30年前、40年前の話が混ざってしまう。俺が知らない頃の話とか。前の亭主(編注:節子さんには離婚経験があった)の話とか。

 難しいのは、何でもない時と、おかしいなって時とそれぞれあるんですね。朝起きて、今日は調子いいなと思って見てるとね、昼頃から、急に悪くなったりね」

 節子さんは吉田さんと30年前に結婚した。節子さんはバツイチで、元旦那が不倫していたことなどが離婚の原因だった。過去の話が混ざってしまう節子さんは吉田さんに対しても『浮気』を疑うようになった。

「いちばん困ったのはね、浮気しているって言い出したことなんです」

 語気を強める吉田さん。

「その前ぐらいから、ポチポチそんなことは言っていたんだけども、冗談半分ぐらいだった。それがだんだん本気になってきた。マジで言っているなっていう。それとね、前の亭主は『女のことでもめるといつもお金くれた』とも言い始めた。

 娘の話を聞いていてもね、そういうことがかなりあったらしくてね。浮気がバレると、5万円とか10万円とかお金をくれたんだって。だから俺にも浮気しているならお金を出せって言ってきたんです」

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