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【NPB左腕を多数輩出】甲子園準決勝に挑む京都国際 勝利の秘訣は「サウスポー2枚看板」 なぜ「左腕王国」は誕生したのか

NEWSポストセブン / 2024年8月21日 7時15分

 宮村部長が指導する上で大切にしているのが「可動域の広さ」だという。

「(肩関節の)可動域を広げ、体の連動性を生むことをピッチャー陣には落とし込んでいます。私や小牧は入学してくれた選手を育てるのが主な役割。選手勧誘に関してはコーチに一任しています」

 現在の高校野球はスカウティングが“強化”の第一歩であり、とりわけ近畿圏の逸材には熾烈な獲得競争が展開される。京都国際で選手勧誘を担当しているのが、岐阜城北高校出身の岩淵雄太コーチだ。

「はい、スカウティングに関しては一任されています。監督や部長は、誰が入学してくるのか、はっきりとは把握していないと思いますよ(笑)。でも、それがいいと思います。たとえば、監督や部長が中学生の現場を回って口説いて入学してくれた選手だと、監督や部長も重宝しがち。その点、京都国際では僕しか回っていないので、頑張って、成長した選手には監督や部長が平等にチャンスを与えていると思います」

 近年は声をかけるばかりではなく、自ら京都国際に入りたいと志願してくるケースも多いだろう。

「森下に続き、杉原がプロに挑戦するなかで、京都国際=左ピッチャーで、“いつも左の好投手を育てるよね”というようなイメージが進学を考えるご家庭や中学生のチームに浸透し、いわゆる京都国際としてのブランディングができたことが大きいように思います」

スカウティング担当が話す「目が行く中学生」の特徴

 今大会の主戦である中崎と西村も、岩淵コーチが声をかけて入学に導いた。中崎に関しては中学時代に在籍していた関メディベースボール学院では、報徳学園のエースとしてこの夏も甲子園で投げ、世代ナンバーワンの呼び声も高い今朝丸裕喜と左右の2枚看板だった。岩淵コーチが語る。

「中崎は投球時、踏み込んだ前足が流れることなく、しっかり止まっていた。要するに投球フォームにブレがないんですね。それと(右打者の内角への)クロスファイヤーのボールがしっかり投げ込めていた。上半身に頼ったパワーピッチャーよりも、森下や中崎のように、下半身から体を使う子のほうがうちの宮村の好みといいますか、そういう投手を育成したいという思いがチームとして強い。自然と下半身を使える中学生に目が行きます」

 滋賀の近江ボーイズにいた西村に関して岩淵コーチは「バランスの良さ」に惚れ込んだ。

「そして、変化球でストライクが取れること。当たり前のように思うかもしれませんが、それができない選手が多いんです。それとやはり、下半身をしっかり使えるという点で、中崎と共通していました」

 また、小牧監督によるとベンチ外の1年生にもドラフト上位でプロに行く可能性を秘めた左腕が複数いるという。

 青森山田は今春のセンバツで敗れた相手だ。リベンジを果たし、決勝に進出することができれば、今度は小牧監督や宮村部長の京都成章の恩師や先輩たちが16年前(1998年)に果たせなかった日本一への挑戦となる。

■取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)

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