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「今年はじめについに貯金が底をつき、今は借金生活」『地面師たち』で遅咲きのブレイク 五頭岳夫(76)が明かすホームレス役が多いのは「底辺の人の気持ちがわかるから」知られざる役者半生

NEWSポストセブン / 2024年8月29日 17時59分

──劇団の同期や役者仲間などで親しくしている方はいますか?

「劇団を辞めたのは43歳のときですが、役者仲間には、悩みを相談するような親しい友人はいません。親しく付き合っているのは、小中学校時代の同級生です。違う業界で生きている人のほうが、自分では考えもつかなかった発想をするので、助けになります。中学の同級会には必ず出席しますね」

──では、支え合う家族はいるのでしょうか?

「結婚は、劇団にいた30代の頃、同僚の女優としました。といっても、籍を入れない事実婚で、お互い演劇に生涯を捧げよう、と子どもは作りませんでした。僕が病気になって別れを選び、それからはずっと1人です」

──大病を1人で乗り越えるのは、本当に大変だったでしょうね……。

「実は、胃がんの後、下顎の骨が溶ける病気(顎骨骨髄炎)も患い、顔の左側に金属プレートを入れる手術もしています。ところが、その金属が折れて、また手術……ということを6回繰り返しました。患部が顔なので、役者としてはつらかったですよ」

──それでも役者を続けたのはなぜでしょう。

「40歳を過ぎて転職するのは難しいですから。映像の世界で役者を続けようと、エキストラから再スタートし、ここまで続けてきました」

──これからの目標を聞かせてください。

「声をかけてくれる監督さんが何人かいるので感謝しながら、これからも続けていきたいですね。願いとしては、役者の仕事で食べていけるようになることです。

 劇団時代は劇団から給料が出ていましたから、その後は貯金を切りくずしたり、飲食業やコンビニ、ヤマト運輸などのアルバイト、姉からの援助で何とかやってきました」

──俳優の仕事は予定が立てづらいので、定期でアルバイトをするのが難しいと聞きます。

「今年はじめについに貯金が底をつき、今は借金生活です。だから、一番ほしいのは仕事ですね。出演作は多いですが、“ワン・デイ、ワン・シーンの役者”だから、スケジュールは白い日も多い。そんな日はテレビでドラマやスポーツを楽しみ、住んでいる団地の自治会の役員として中庭の草むしりをして身体を動かしています。『作品みましたよ』と声をかけられることは、まだありませんよ(笑)」

 これから大きく羽ばたく予感はじゅうぶん。街で声をかけられることが増えていくことだろう。

(了。前編から読む)

【プロフィール】
五頭岳夫(ごず・たけお)/1948年新潟県北蒲原郡水原町(現・阿賀野市)生まれ。高校卒業後、上京。自動車整備士を経て劇団「青年劇場」入団。劇団員として活動しながら、『砂の器』『八甲田山』などの大作映画に出演した。42歳で劇団を退団。2000年にエキストラとして再スタートし、2007年から本格的に映像作品に出演。映画『凶悪』『教誨師』などで存在感を示し、2024年、Netflixドラマ『地面師たち』で人気に。

(取材・文/中野裕子)

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