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年間1000人以上の子どもが行方不明…「怖いと思ったら防犯ブザー」という教え方だけでは危険 犯罪学の第一人者が解説する「危ない場所」

NEWSポストセブン / 2024年8月29日 11時15分

「怖いと思ったときには防犯ブザーを鳴らしなさい」

 これも相変わらず多い間違いです。2013(平成25年)年の調査では全国の82%の小学校で、防犯ブザーを子どもに配布しています。

 しかし、子どもが防犯ブザーを本当に鳴らせるかどうか、冷静に考えてみることです。

 子どもが勇気を出して防犯ブザーを鳴らそうとしても、故障や電池切れで鳴らないことは十分考えられます。国民生活センターが実施した調査では、防犯ブザーの故障の苦情を受けていた地方自治体は8割にも達しました。

 機械的なトラブルがなく防犯ブザーを鳴らせたとしても、警報音の聞こえる範囲に大人がいない可能性もありますし、その警報音を子どもの防犯ブザーと認識できないかもしれません。

 防犯ブザーは、子どもが面白がって鳴らしてしまうので、仮に鳴っていたとしても大人は「ああ、また鳴っているな」と思いますから、誰も出てこない場合も多いでしょう。防犯ブザーが「狼少年」になってしまっているわけです。

 また、犯罪者に無理やり連れ去られそうになったときに防犯ブザーを鳴らした場合は、犯罪者を刺激することになります。場合によっては、パニックになった犯罪者が子どもに危害を加えないとも限りません。

 いまだに子どもに護身術のようなことを教えている学校もあるようで、驚くことがあります。小学校で行われる防犯教育では、手をつかまれたら連れていかれないために地面に伏せなさいと教えることがあるようです。もしそれを実行した場合、犯罪者が諦めて手を放して立ち去ってくれればいいのですが、そうとばかりは限りません。

 頭に血が上った犯罪者は、伏せた子どもを蹴るでしょう。人間は反射的にそういう行動に出るのです。大人が子どもの腹をめがけて蹴った場合には内臓破裂で即死です。

 ほかにも、足を踏みつけろとか、かみつけとか、いろいろな方法を学校の安全教育の中で教えています。あるとき私が講演に行った小学校で、「ぼくは大人の手を振りほどけるから大丈夫」と言いきった児童がいたので、私がその子の手をつかんでみました。当然、大人の力にかなうはずもなく、振りほどけるわけがありません。少年は自信満々だったのですが、しょんぼりしてしまいました。学校の安全教育では警察官がやってきて、子どもに護身術のようなことを教え、「うわあ、やられた〜」などと言ってお茶を濁しているので、子どももそうやって危険を回避できると錯覚してしまうのです。

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