自民党内屈指の集金力を持つ小泉進次郎氏、政治資金パーティーで年8600万円の収入も報告書に購入者の記載なし 問題視される「20万円以下は公表義務なし」ルール
NEWSポストセブン / 2024年8月30日 7時15分
公表状況に違いが出るのは、現行の政治資金規正法の規定によるものだ。
同法は、政治資金パーティー1回につき「20万円を超える支払いを受けた者」の住所・氏名を収支報告書に記載しなければならないと定めている。購入者には企業も含まれ、前述の林氏や遠藤氏の収支報告書でも企業の購入者の記載が目立つ。
進次郎氏のパーティー券を購入したのが個人ばかりというわけでもない。そのことは、進次郎氏の資金管理団体「泉進会」が2021年1月に計画していたパーティーをコロナ禍で中止した際の記載でわかる。政治資金収支報告書では、20万円以下のパーティー券購入者は公表しなくていいが、「返金した場合」は記載しなければならず、この時の泉進会は8社に合計70万円を返金している。そのうち2社が公表基準ギリギリの20万円のパーティー券を購入していた。
1社は関東の大手スーパー「ヤオコー」だ。同社は「日本スーパーマーケット協会の会長会社として、外国人技能実習生や年収の壁問題などの現場での実態をご理解いただく機会と思い購入した。金額に関しましては、過度にならないよう20万円までの範囲内で社内で一定額を決めて購入しております」(広報担当)と文書回答。もう1社の東京で医療用機器の卸売などを手がける三荘企業は取材に応じなかった。
政治資金パーティーをめぐっては、安倍派のように収入の一部を記載せずに裏金として議員に配れば「違法」であり、本誌が報じた岸田首相の総理就任パーティー【※注】のように任意団体の主催にして政治資金収支報告書に収支を記載しないのは「脱法」と言える。
【※注/2022年6月に岸田首相の地元・広島で開催された「内閣総理大臣就任を祝う会」が、実質的に岸田事務所の仕切りで運営された資金集めパーティーだったにもかかわらず、形式的に任意団体の主催にし、岸田首相の政治資金収支報告書に収支を記載しない“闇パーティー”としていた疑惑】
それに対し、進次郎氏の場合は合法ではある。
ただ、この「20万円以下は公表義務なし」というルール自体が、政治資金の透明性を低め、ブラックボックス化する緩い基準として問題視されてきた。政治資金研究の第一人者である岩井奉信・日本大学名誉教授はこう指摘する。
「20万円以下は公表義務がないため、政治資金パーティーの収入が正確に報告されているかを外部の者がチェックできない。この緩い公表基準は、派閥がパーティー収入を少なく偽って裏金とすることを容易にするなど、政治資金規正法の“抜け道”に使われてきた。たとえば、40万円のパーティー券を購入してもらったとしても、20万円ずつ別名義の購入にすれば公表せずに済み、収支報告書に載らないから外部からはチェックできません」
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