1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

【下剋上の自民党総裁選史】キングメーカーの思惑や派閥の談合が覆された証言録 「田中vs福田」「小泉vs橋本」「安倍vs石破」…まさかの逆転劇の内幕

NEWSポストセブン / 2024年9月1日 7時15分

【大平正芳vs福田赳夫(1978年)】

 2年前の総裁選で勝利した福田首相は、1978年の総裁選ではその座を幹事長の大平氏に譲る「大福密約」を結んでいたとされる。それに基づけば、福田氏は総理からキングメーカーへとスライドするはずだったが、総裁選出馬の道を選ぶ。そして、まさかの敗北を喫した。

 大平氏と手を組んだ角栄氏が「田中軍団」の議員や秘書を総動員して徹底した党員票集めを展開。大平氏が予備選で福田氏に110点差(※この時の予備選は、党員党友の1000票を1点として計算)をつけて1位になった。福田氏は「天の声にもたまには変な声がある」と言い残して決選投票を辞退、退陣した。

 当時、予備選の票集めに奮闘した角栄氏の元秘書・朝賀昭氏が証言する。

「あの時は角さんが田中派議員の秘書を集めて、『田中派の議員は子供同然、その秘書は私の孫も同然だ。だからみんな田中角栄秘書の名刺を作って党員回りをしろ』とローラー作戦の指令を出した。田中角栄秘書の名刺を出すと効果は絶大、党員はみんな『わかった。大平に入れる』と言ってくれた。なかにはあんたに任せると投票用紙を封筒ごと渡してくれる人もいた。

 電話作戦もやった。我々が電話し、オヤジ(角栄氏)が『代わる』と言って出る。相手はびっくりしますよ。後で聞いたら、実は党員名簿は持ち出し禁止だったのを、派内の竹下登さんが手に入れていたんです」

政策協定で「騙された!」

【小泉純一郎vs橋本龍太郎(2001年)】

 自民党内で「変人」と呼ばれた小泉純一郎氏が、野中広務・元幹事長や青木幹雄・元参院自民党幹事長らが属する最大派閥・橋本派を率いた橋本龍太郎・元首相を破って劇的な勝利を飾ったのは2001年総裁選だ。

 小泉氏はそれまで2回総裁選に出馬して惨敗し、“勝てない総裁候補”と見られていた。そんな小泉氏を急浮上させたのは国民に人気のあった田中眞紀子氏(当時は自民党代議士)だった。

 父の角栄氏を裏切った橋本派に恨みを持つ眞紀子氏は、橋本氏の対抗馬だった小泉支援に動くと、総裁選の街頭演説では大勢の聴衆を集めて「眞紀子旋風」を起こした。追い風を受けた小泉氏は「自民党をぶっ壊す」と演説し、党員投票で9割もの票を得た。

 当時、本選出馬を辞退して小泉支持に回った亀井静香氏が語る。

「あの時は間違いなく小泉は眞紀子の人気で勝った。まだ小泉が国民に人気があったわけじゃない。眞紀子だよ。

 俺も眞紀子に推薦人になってもらおうと『助けろや』と頼みに行ったんだが、眞紀子は『昨日、純ちゃんに頼まれて、約束しちゃったから』と断わられたんだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください