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【80才で声優デビュー】杉良太郎「アニメ映画」で親鸞聖人を演じる「なぜ生きるかを問いかける、重いテーマ」

NEWSポストセブン / 2024年9月4日 4時0分

 そう語り、杉は65年に及ぶ社会福祉活動を振り返った。

「重度の障害を持つ人の施設を訪ねて、自ら選んだわけではなくそうした人生を送る人に“なぜ生きるか”“あなたの人生の目的は”と問いかけることができるのか。それは相手に問いかけるものではなく、自分の頭で考えるもの。目の前の人はどんなことで笑顔になるのかな、幸せを感じるのかな、嬉しいと感じるのはどんなことかなと、想像を巡らせる。要求されないならば、こちらが考えて差し出すのがしかるべき。そうした葛藤を絶えず抱えて活動してきたし、人間の本質はそうした行いに表れると考えている。

 戦争や貧困、災害など様々な理由で、世界にも日本にも、今この瞬間に悠々と生活できていない人はたくさんいます。恵まれた境遇にいると他人の不自由さがわからなくなるけれど、かといって、決して目を背けてはいけない問題です。自分のテーマとして考え続けてきたことも重なって、今回の親鸞聖人役はただアニメの出演依頼があって声で出演しました、とは到底考えられなかった」

 杉自身、オファーをきっかけに「なぜ生きるか」、あらためて自分に問いかけたという。

「自分は目的があって生きているのか。流されてはいないか。昨日と同じように生き、これから先も淡々と同じ日々を繰り返していくのだろうか――。

日常では生活に追われてあまり考えない自分の人生を、この機にじっくり見つめ直しました。慣れ親しんだ生活のリズムを外れていつもとは違ったステップを踏むと、目に映る世界が変わる。新たな気付きがある。なぜ生きるかと、立ち止まることができてよかった。老若男女誰しも、人生の道標となる言葉だと思います」

 今年で芸能生活60周年となるが、アフレコは初挑戦だったという。

「大昔の映画は音声を同時に録っていないものだから、自分が演じた口の動きにあわせて後から台詞を録音したことはあります。でもアニメーションで声の演技をする機会はなかった。80才になってなじみのなかった仕事がくるんだと不思議な気持ちもあったし、初めての経験に不安も少なからずあった。それでも挑戦したい気持ちが勝ってやってみたら、初めてでもどうにか形になった。何事も本人が“だめだ”と思った時点で、だめになるんだなと」

 年齢をいいわけにしてはいけないと、自戒を込めて語る。

「“杉さん、若いじゃないですか。まだやれるでしょう”とよく言われるんだけど、見た目だけなの。今日のアフレコでも目がかすんで台詞がよく読めなかったし、もう80才なんだもの。それなりにガタがきます。だけど今の時代、80才を歳だと考えてはいけないね。厚労省の健康行政に携わって65才以上のヒップホップダンスチームの全国普及に取り組んできて、7月には最高年齢の95才のダンサーにイベントで踊ってもらったばかり。その人たちを前に“80才になると、しんどいね”なんて弱音はとても吐けない。

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