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《三重県大台町》「遺骨がむき出しで散らばっている」現場の実態、“許可なき自然葬”は「埋葬」か「散骨」か 運営する和尚が怒りの声

NEWSポストセブン / 2024年9月6日 7時15分

「近隣の地区には300人程度が住んでいますが、現場から100メートル以内に住居はありません。川沿いを散歩をする住民もいるでしょうが、歩道もない国道ですのでそれも少数だと思います」(大台町の住民)

自然葬を行なう和尚は行政の対応に不満

 この現場での自然葬が始まったのは2007年にさかのぼる。「自然宗佛國寺」という宗教法人が約4500坪のこの山林を買い取り『森のお墓・いのちの森』と名付け、同時に本山を現在の大台町に移転した。自然葬は現在12区画に及び、永代供養の場合は1人21万円となっている。佛國寺の黙雷和尚がこう話す。

「昨年11月に木の骨壺3個が掘り返され、遺骨が散乱しました。その後、町は現場確認もせずに寺に来て一方的に『墓地埋葬法(墓埋法)違反だ。町に墓地の申請をしなさい』と言われました。こうした状況を地元紙が報道し、騒動の発端となったのです」

 昭和23年に施行された『墓地、埋葬等に関する法律』(墓埋法)では「埋葬」に関しての項目で「死体を地中に葬ること」と記されている。さらに同法では「墓地外の埋葬等の禁止」についても定められており、「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に行ってはならない」などと書かれている。また「墓地」の運営には自治体の許可が必要になる。

 一方、海や地表に骨を撒く「散骨」については墓埋法では言及が無い。厚労省が出しているガイドラインでは散骨について「墓埋法に基づき適法に火葬された後、その焼骨を粉状に砕き、墓埋法が想定する埋蔵又は収蔵以外の方法で、陸地又は水面に散布し、又は投下する行為」と規定されており、水源近くで行なわないことや、地域住民や周辺土地所有者への配慮などが記されているが、罰則はない。

 墓地の経営に関する許可の権限は三重県から大台町に委譲されており、墓埋法では骨を地中に埋める「埋葬」となれば町への墓地開設の申請が必要になるが、埋めずに地表に撒く形の「散骨」であれば、厚労省のガイドラインに沿う形になる。

町が現地視察に訪れたのは半年後

 昨年12月に議会で議題にあがった当初、大台町はこの自然葬について「埋葬」にあたるのではないかと判断していた。そのため、黙雷和尚に対して、「墓埋法違反だ」との注意を行なったが、大台町の現在の担当課である税務住民課が現場を視察したのは半年以上経過した今年6月のことだった。そして、「埋葬ではなさそう」と、昨年の議会での発言から一気にトーンダウンした。

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