1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

《三重県大台町》「遺骨がむき出しで散らばっている」現場の実態、“許可なき自然葬”は「埋葬」か「散骨」か 運営する和尚が怒りの声

NEWSポストセブン / 2024年9月6日 7時15分

「骨を土に埋め込んでいる『埋葬』と思い込んでいましたが、現場に行き、見たら埋めてはいないようでした。散骨の場合は国のガイドラインに沿う形になりますので、今後は国や県と照会して判断する形となります」(大台町・税務住民課)

 埋めれば「埋葬」、撒けば「散骨」となる現状の法規制は曖昧な部分も多い。自然葬を巡っては以前から業者と近隣住民でトラブルが起きている。2005年には北海道長沼町では散骨禁止条例が可決されるなど、条例によって散骨を禁止する自治体も出ている。しかし近年では従来の葬送にとらわれない自然葬への関心も高く、近年では「知の巨人」とも称されたジャーナリストの立花隆さん(享年80)が2021年の死後、樹木葬で葬られている。

 核家族化や檀家の減少なども相まって、遠方にある先祖代々の墓を守れないという理由から「墓じまい」が進み、自然に還るという考え方が現代の価値観とも通じる。厚生労働省が昨年公表した「令和4年度衛生行政報告例」によれば、全国の改葬(墓の移転)件数は昨年に過去最高の15万1076件となっており、大台町の自然葬でも「墓じまい」をして移ってきたものも多いという。

求められる「時代に即したルール作り」

 今回の問題には行き違いも多く見られた。昨年末の議会でのやり取りで述べられた「町側の認識」だ。墓埋法違反であれば許可を取るよう促す、町がそう言ってから現場を訪れたのは今年6月になってからだった。現場を訪れた担当課長が「埋葬ではない」と判断しているが、議会で発言した当時の担当課長とは違い、別の担当課長が現場を視察している。黙雷和尚は以前からトラブルを想定してか、2003年から県や厚労省関係者と折衝を重ね、当時の日記に担当者の実名や担当部局などを書き留めていたという。

「(2007年当時、墓埋法を管理していた)県から申請の必要はないと聞いていた方法ですが、町が現場を見ずに違法と断罪したことに怒りはあります。町からは最初に断罪したことに対する謝罪もありません」(黙雷和尚)

 町の見解を拡散した報道も誤解を生むきっかけとなった。当初は墓埋法違反の可能性を示唆した報道だったが、6月に町が「埋葬ではなさそうだ」と判断をした直後の7月になると、遺骨がむき出しになった映像を住民トラブルとして報じている。宗教法人は2007年に移住してきたこともあって、古くからの地元住民との顕在化しない軋轢があったことも考えられる。あるいは散骨する遺骨の大きさが住民感情を刺激した可能性もある。

 墓埋法が施行されたのが1948年ということもあり、墓じまいが進み、自然葬への考え方が変わりつつある現代とは考え方に大きなズレがある。とはいえ違法でないからといって周囲に配慮しないやり方をすれば新たなトラブルが生じかねない。墓埋法や厚労省のガイドラインを含め再考の時代が来ている。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください