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【65周年を迎えた吉本新喜劇】すっちー&島田珠代が語る王道の源流と現在「変な動物園に来ちゃった感じで、変なものと遭遇して笑うのが新喜劇の強み」

NEWSポストセブン / 2024年9月16日 7時15分

 ただ、先日行なわれた東京での初日公演の際は、もっとアバウトだった。体当たり演技が売りの女優、島田珠代が振り返る。

「本番の2時間ぐらい前、まだ、みんなお弁当とか食べてたんですけど、誰かが『本読み、どうします?』って言ったら、楽屋の中で『もう、ええやろ』って話になって……。初日ですよ! エグくないですか?」

 横で聞いていた座長のすっちーは苦笑いを浮かべる。

「本音を言えば、やりたかったんですけど。ただ、言い訳じゃないですけど、ガチガチに作り込んでしまうのもよくないんですよ。そうすると、演者が遊びにくくなっちゃうんで」

アドリブをどう入れるか

 現在、吉本新喜劇は109人もの団員を抱えている。売れっ子はひっきりなしにキャスティングされるが、中には1年間、一度も声がかからない役者もいる。そんな若手にすっちーはこんな期待を寄せる。

「役をもらえたら一か八か、勝負したらいいんです。めちゃめちゃ勇気のいることやけど、こんなアドリブを入れたらおもろいかなと思ったらやってみる。スベったら怒られるけど、ウケたら勝ちなんやから。珠代姉さんなんて、まだ若手がアドリブを入れることに厳しかった時代に『いらんことすな!』って怒られて、すいませんって謝りながらも、次の日、またやってたんですから」

 珠代は、そうして現在の地位を築き上げたのだ。

「人と同じことやっててもお金にならないですから。この前、ネットで(若手コントユニットの)ダウ90000のコントを観てたら、ものすごい緻密なんですよ。ストーリーが。でも新喜劇は笑いの中にちょっとストーリーがあるみたいな感じかな。なので、お話がどう動くかというよりも、変な動物園に来ちゃったなくらいの感じでちょうどいい。わけわからんけど、変なものと遭遇して笑ってしまうという。それが新喜劇のいちばんの強みだと思うんです」

 確かに、変な動物園である。だが、おそらくは世界で唯一の、笑かしてくれる動物園でもある。

【プロフィール】
すっちー/1972年、大阪府生まれ。2007年に新喜劇に入団し、2014年に座長に就任。

島田珠代(しまだ・たまよ)/1970年、大阪府生まれ。1988年に入団後、1990年代初頭から現在まで第一線で活躍。

【取材・文】
中村計(なかむら・けい)/1973年、千葉県生まれ。著書に『甲子園が割れた日』『勝ち過ぎた監督』『笑い神 M-1、その純情と狂気』など。スポーツからお笑いまで幅広い取材を行なう。近著に『落語の人、春風亭一之輔』と、共著『高校野球と人権』

※週刊ポスト2024年9月20・27日号

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