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《見捨てられた老人ホーム》東京・足立区で「人手が回らず餓死者が…」「お風呂も入れられない」給与未払いに社長は雲隠れ…元職員が明かした“現場丸投げ運営”の実態

NEWSポストセブン / 2024年10月13日 11時13分

 慢性的に人手不足だった施設。施設の居室数は187床あり、オープン当初から混乱続きだったのだろう。Aさんは現場で働く身として、このように職場の状況を回想する。
 
「明らかに体制が整っていない状況でした。とにかく全てが“現場丸投げ”状態で、現場経験が豊富でマネジメントができるような人間も施設にはいない。私が入った時は原則、利用者40人に対して最低1人は配置しなければならないサ責(サービス提供責任者:訪問介護サービスを提供するうえでの責任者のこと) すらおらず、2月になってからようやく1人採用されました。当時、施設長の肩書きをもつ男性もいたのですが『現場は初めてなんだ』と話していてびっくりしましたよ」

 Aさんは続ける。

「通常なら利用者さんへの投薬も、どの職員が誰にあげるかなど細かいルールづくりがあります。しかい、この施設ではそういったルールもなく、誤薬や飲ませ忘れもよく起こっていた。また『事故報告書』といって、介護中の事故などを上司に知らせるものがあったのですが、これも形式的でいい加減な運用だった。本来は事故の再発や隠ぺいを防ぐため、現場の職員が書いて上司の判子をもらい、戻ってきたものを保管しておくべき書類ですが、この施設では職員が事故の内容を記入したうえでファイリングするのみ でした。経営サイドの方が現場に来ることもまずなかったので、施設がどういう状況か知るよしもなかったでしょうね」

職員が足りず負のサイクルに……「ミスも多かった」

 運営に疑問をもちつつ、なんとか状況を改善しようと試みたAさんだったが、現場はいつも混乱していた。

「人手不足と現場任せが相まったんでしょうね。ご飯の進みが悪い入居者さんがいて、食事の提供自体は行っていたのですが、十分に栄養を摂取できていないという日が数日間続いたそうです。

 常に業務を回すのが精一杯ですから、日頃から利用者さんの健康管理を務めるナース にその情報が共有されておらず、結局その方はいわゆる低栄養で亡くなってしまった。低栄養といえば聞こえはいいですが、“餓死”ですよね。10月から12月の間で、似たような事例で亡くなった方が他にも2名ほどいたそうです。

 なかには真面目に働いている人もいるんです。ですが人が足りない、まとめる人間もいない状態で激務が続くと、どうしても現場は荒んでしまうじゃないですか。統制はとれず、上はなにも対策しようとしない。こういった杜撰な運営が、真摯に働くスタッフを離職に追い込み、さらに現場が回らなくなるという負のサイクルを作り出したんだと思います」

 NEWSポストセブンは、運営法人が置かれている東京・中央区の事務所を訪れたが、そこに社長ほか取締役の姿はなかった。後編ではAさんが実際に経験した“金銭トラブル”などについて報じる。

(後編に続く)

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