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《人生の後悔》50代となった女優3人が振り返る半生「いつ、『最後の1回』になるか分からない」舞台に生きる役者の覚悟

NEWSポストセブン / 2024年10月16日 10時59分

 でも、その場所には絶対に戻れない。たとえ戻ってやり直すことができたとしても、単なる自己満足かも知れないし、今また同じ状況になったとしても正しくできるとは限らない。今度は見て見ぬふりをしないでいられるかと言われたら、絶対にできるとは言い切れない。ときを経た分、余計にできなくなっていることだってあると思う。難しいですよね。

──誰もが傍観者になりうると、自覚し続けることが大切なのかも知れません。

有森也実(以下、有森):たとえば、動物駆除のニュースとか、私、すごく苦手なんです。でも、積極的に行動を起こすことはできなくて、つらいのになにもできない自分が嫌で、ニュースを消してしまう。ただ、大勢のなかのひとつの目になったときはなにもできなくても、自分ひとりの目としてはちゃんと責任を持っていたいし、自分にできることをする覚悟は持っていたい。

「演劇」というのは、テレビドラマや民放のニュースではなかなか扱えないテーマにも踏み込んで伝えることができる。その文化が受け継がれ、守られている。演劇の場に表現者として存在することで、傍観者である自分との折り合いをなんとか保っているんだと思う。

──「50代」「片づけ」「傍観」などのテーマが散りばめられている『片づけられない女たち』には、「死ぬまでにやっておきたいこと」を冗談交じりに語り合う場面があります。究極の「片づけ」エピソードとも言えますが、みなさんも考えたことはありますか。

松永:本のなかでも描かれていますが、実際に私も年齢が近い友人や知人が亡くなっていってるので、「死」ということを身近に感じるようになった。おかげで、死ぬまでにやっておきたいことは今のところ思いつかないけど、どれが「最後の1回」になるか分からないぞと考えるようにはなりましたね。

佐藤:とりあえず、ずっと健康でいないと、やっておきたいことがあってもできないですよね。お芝居はもちろん、今やっていることを続けるためにも、いつかやりたいことを実現させるためにも、健康でいないとダメなのは間違いない。健康診断を受けても、今までは目に留まりもしなかった数字が、「これはどういうことなんだろう」と気になるようになりました(笑)。

有森:日々を楽しくいたい。そのうえで、人と触れ合いながら、なにか作ることをやり続けられたらいいなと。お芝居もそのひとつだし、私はダンスが好きなのでダンスもずっと続けていきたい。もちろん、映像のお仕事も素晴らしいけれど、最近はAIやCGなどの技術が発達して、肉体と肉体で作り上げる部分が薄くなってきている気がします。せっかく生きているんだから、そういう皮膚感覚、身体感覚みたいなものを大事にしていきたいですね。

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