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臨床心理士・東畑開人さん『雨の日の心理学』インタビュー「経験を重ねると、やっぱり大事なのはバランスだなと思う」

NEWSポストセブン / 2024年11月1日 16時15分

 バランスを取るために何が必要かというと、何と何の間でバランスを取るのか、その2つのものがいったい何かを理解することなんですよ。たとえば『ケア』と『セラピー』だったりね。追い詰められていると、人ってひとつの道しか見えなくなるけど、バランスを探ろうと思う時点で、閉じ込められたところから少し脱出できているんですよ」

 本の中にこころには、余裕のあるとき(Dポジション)と追い詰められているとき(PSポジション)があるという説明が出てくる。この言葉を知って自分がいまどちらの状態にあるか考えるだけで、こころを落ちつかせられそうだ。PSポジションのときに怒りにまかせてメールを書かない、送らない、というのはすべての人に知ってほしい情報である。

 東畑さんは、この本を読んでほしいと思う読者層というのを考えていますか。

「今回の本はまさに、『女性セブン』の読者ぐらいの層の人のことを一番考えていて。周りにいっぱいケアする人がいる女性ですね。本に出てくる比喩も、女性の読者を思い浮かべながら書いています。子どももいるし、親も手助けが必要になって、職場でも誰かの面倒を見なければいけない、そんな人に手に取ってもらえたらと思っています」

【プロフィール】
東畑開人(とうはた・かいと)/1983年東京都生まれ。臨床心理士・公認心理師。京都大学教育学部卒業、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。専門は臨床心理学・精神分析・医療人類学。精神科クリニックでの勤務、十文字学園女子大学で准教授として教鞭を執った後、白金高輪カウンセリングルーム主宰。2019年『居るのはつらいよ──ケアとセラピーについての覚書』で大佛次郎論壇賞、紀伊國屋じんぶん大賞2020を受賞。ほかの著書に『心はどこへ消えた?』『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』『聞く技術 聞いてもらう技術』『ふつうの相談』など。

取材・構成/佐久間文子

※女性セブン2024年11月14日号

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