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横関大さん、最新刊『誘拐ジャパン』インタビュー「現実の犯罪とは一線を画す、芸術点のある犯罪小説を描きたかった」

NEWSポストセブン / 2024年11月8日 16時15分

 いつもは担当編集者との二人三脚で小説ができあがっていくところを今回は受講者のみなさんにも読んでいただき、その発想が構成にも生きている。得難い経験でした」

 誘拐モノの執筆はこれでおそらく最後になるだろう、と語る。

「人質をとって身代金を要求するような誘拐という犯罪が、過去の遺物になりつつあるのだと痛感したんです。電子マネーや暗号資産がある中で身代金の現金を要求するなんて、まどろっこしい。この先、誘拐という単語そのものが死語になっていくのかもしれないと感じましたね」

 無差別な襲撃でやみくもに金銭奪取を図り社会を騒がせている犯罪と違い、『誘拐ジャパン』で犯人グループは政治的要求にこだわる。その根底からは、登場人物それぞれの人生模様が透けてくる。志も感じられる。その差に触れると横関さんは、

「いわば、優雅な犯罪ですよね。犯罪に“芸術点”があったら、加点は高い。かたや、闇バイトで実行犯を募集して住宅に侵入して人殺しも厭わない昨今の強盗事件の類に芸術点はない。こうした時代にこそ、現実の犯罪とは一線を画す、芸術点のある犯罪小説をフィクションとして描きたかった」

 そう、創作を振り返った。

【プロフィール】
横関大(よこぜき・だい)/1975年静岡県生まれ。武蔵大学人文学部卒業。2010年『再会』で江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。主な著書に、映像化された「K2 池袋署刑事課 神崎・黒木」シリーズや「ルパンの娘」シリーズ、『彼女たちの犯罪』『忍者に結婚は難しい』のほか、『メロスの翼』『戦国女刑事』など。

取材・構成/渡部美也

※女性セブン2024年11月21日号

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