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機関紙『山口組新報』巻頭に掲載された六代目山口組・司忍組長の近影、最新号の「編集後記」に滲むヤクザ社会が直面している課題

NEWSポストセブン / 2024年11月8日 7時15分

六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた

 六代目山口組が刊行し、傘下組織に配布している機関紙『山口組新報』。巻頭に掲載される司忍組長の近影、幹部陣の寄稿など山口組の動向がわかる重要資料として警察、メディア関係者のあいだで関心が高い。一方で同紙には、俳句や川柳、さらには傘下組織の地元の名所、名産を紹介するコーナーなどもあり、「組員たちの素顔が知れる」側面もある。

『山口組新報』は司組長になってから発行されるようになった。同紙の制作過程については不透明な部分も多いが、六代目山口組に所属する組員によって組織される“編集部”によって制作されているのは間違いないとみられている。

「もちろんマスコミに流れることも想定しているのだろうが、最高幹部が『組織として恥ずかしくない記事を載せるように』と厳命していると聞く。実際、一流大学出身の組員をはじめ選ばれた組員が制作に携わっているようで、硬い文章ではあるが、しっかりとした記事を載せている」(実話誌記者)

 最新号では“編集部”による「編集後記」が業界内で話題になっている。その文章の冒頭は飲食店などの店舗が新紙幣への対応を迫られるといった内容から始まる。今後さらにキャッシュレス決済が増加するという見通しを提示し、スマホやクレジットカードを原則契約できない組員たちに対して、〈今後現金の効力を発揮できない世の中に対応する事は不可欠となります〉(以下、〈〉内は『山口組新報』より)と注意を呼びかけている。

 文章は続く。高速道路のETCや、産業用ロボットの導入など、現代社会は“コスパ”を重要視し、合理化を求める流れになっていると指摘。人との交流もスマホ一つで完結できる社会については〈物凄く便利で快適な世の中に進化しているという体感があります〉とする一方で、〈その反面に古い物は置き去りになり、やがて忘れられるという連鎖は日本人の心まで奪ってはいないかという疑念を抱いてしまう〉としている。〈社会のアンバランスから生まれる「人間関係の希薄」は古き良き時代に培った「貧しても鈍するな」という日本人独特の美学さえ蝕んでいる〉と、その見解を表明している。

 さらに哲学者・デカルトの名言「我思う、故に我あり」を引き合いに出し、〈直接の人間関係が無く孤独感と思考の低下を生み出しています〉とも書かれていた。

関係性が希薄になるヤクザ

 元来、暴力団は地域に密着して発展を遂げてきた。「編集後記」では当時について〈人々は助け合い喜びを分かち偲び合う(中略)何か心の繋がりを深く感じていた気がします〉と振り返り、暴力団という存在は〈人間性や生き様に重きを置く歴史と文化があります。自分個人を考える時、自分が存在する証明となる〉とし、〈どんな世の中になろうと山口組は山口組であります〉と締めくくられている。

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