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《国会へ初登院》森下千里議員は報道陣の前を一瞬で通過、食糧自給率を知らなかっただけで”議員失格”と烙印を押していいのか

NEWSポストセブン / 2024年11月15日 7時15分

 筆者は、これまでに選挙や国会など、多くの政治の場に足を運び、タレント候補・タレント議員と呼ばれる人たちを数え切れないほど見てきた。その経験からも、タレント議員という色眼鏡で見て、「国会議員の資質がない」とか「不勉強で、仕事ができない」と十把一絡げにハナから批判する気は起きない。

 たとえば、市議会議員や市長といった政治家経験があれば国会議員として仕事ができるのか。はたまた財務省や外務省での勤務経験があれば国会議員は務まるのか。必ずしもYesとは言えないだろう。

 なぜなら官僚から国会議員に転じたことで威張り散らして有権者からそっぽを向かれる国会議員を筆者はたくさん見てきたし、市長や知事の経験があっても勝手が違う国会議員という立場になって手腕を発揮できなった人もいた。また、頭でっかちになりがちで一般庶民の切実な訴えを理解できない議員もいる。

 なぜ、芸能人やスポーツ選手が政治家に転身するときだけ非難されるのか。政治経験や知識は乏しくても、庶民に寄り添えることは政治家にとって非常に重要な資質でもある。

 森下議員の食糧自給率を理解していなかったとする件も、その場で知らなくてもその後に勉強すれば済む。その失態をクローズアップして「国会議員の資質なし」と烙印を押すことは早計だろう。

 国会議員になれば、あらゆる分野の人たちから毎日のように陳情を受けることになる。そうした数々の陳情の中には、これまで自分が携わってこなかった未知の分野も多々ある。それら知らない分野でも、親身になって話を聞かなければならない。だから、知識よりも話に耳を傾ける姿勢こそが重要になるのだ。

 そもそも森下議員が名簿順位2位になった背景には、複雑な事情がある。もともと森下議員は2021年に宮城5区から立候補したが落選。その後も宮城5区でひたすら辻立ちを続けるなど、地道な政治活動を展開してきた。

 ところが一票の格差を是正する10増10減の影響で、2024年の衆院選から宮城6区が廃止。それに伴って、森下候補が地盤にしていた宮城5区も大幅な区域の変更が生じた。

 地道に活動を続けてきた森下議員は地盤を失ったため、その救済策として自民党から比例名簿2位という優遇を受けた。森下議員は国会議員になりたてなので政治手腕は未知数だが、少なくとも知名度だけで当選できる比例単独を自分から選んだわけではない。「タレント議員」という形容からは想像しづらいが、地味な活動を続けてきたことが関係者に評価されたのだろう。

初心を忘れず実直な活動を

 初登院日の振る舞いは、特に決まりがない。一番乗りをするために、今回は前日の23時から並んだ議員もいた。朝8時の開門の際に、開門前から並んだ新人議員たちの列の様子が報じられることは恒例になっているが、これに加わる義務もない。また支援者との交流を優先するべきか、それとも政務や党務を実直にこなすのか――どちらがいいとか悪いといった話ではない。実際、同じ初当選を飾ったタレント議員でも、八幡と森下両議員を取り巻く初登院日の光景は大きく異なっていた。

 対照的な初登院日を終えた二人の新人議員だが、これからは「国会議員は売れなくなった芸能人の仕事じゃない」とか「タレントが遊びの延長線でやれるような仕事ではない」といった批判を受ける場面は増えるだろう。そうした批判を真摯に受け止めつつも、初心を忘れずにこれまで通りに実直な活動を続けてもらいたい。

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