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三上博史インタビュー「残りの人生、きれいに生きたい。これ以上汚れたり、濁ったりしたくない」ライブバージョンで復活する伝説的舞台“ヘドウィグ”を通して伝えたいこと

NEWSポストセブン / 2024年11月16日 7時15分

 それが孤独なホステスと天才ピアニストの究極の愛を描いたドラマ『この世の果て』(1994年・フジテレビ系)だ。こうして役者として常に挑戦を続け、同時にシンガーとして40〜50本ものライブをこなしていた。

「一時期、ドラマや映画の影響からか、アイドルのように見られていた時期があったのですが、ライブではその固定観念を崩すように激しいパフォーマンスをしていました。お客さんの期待をいい意味で裏切りたいという気持ちがあって(笑い)。それは今回のライブでも変わりません。シンプルでいこうというのは許されないと思っています」

20年の人生を注ぎ深みの増したライブ

 俳優とシンガー、さまざまな“顔”を見せ続け、常に新しい挑戦を繰り返してきた三上は還暦を越え、いままた別の顔を見せようとしている。

「今回の『ヘドウィグ〜』は20年前の舞台と違ってライブバージョンなので、再演とはまた違う。バンドのミュージシャンはほぼ同じ仲間が揃いましたが、20年の間にぼくも含めて皆、いろいろなことがあって成長している。だからたとえ同じことをしても、20年分の人生が演奏に出て、深みは増すのではないかなと思うし、それを踏まえても、いまの自分に何ができるのか、何をしようか、いままさに考えているところです」

 前回の公演では11曲のうち6曲の訳詞も三上が担当したが、今回も訳詞については表現を探しているという。

「ヘドウィグが伝えたいことは“壁を壊そう”ということ。でもいまはSNSの普及のせいか、相手と意見が違うと、取りつくしまもないほど関係が分断されてしまう。人の意見に対し、“自分はそうは思わないけれど、その意見もいいんじゃない? ぼくは責めないよ”という柔軟さが欠けている人が多いと思うんです。自戒を込めてですが(笑い)。

 年を取ると、自分を守るためか、どんどん頑固になります。でもそんな考え方を壊して柔軟でいたいと思います。

 ぼくは残りの人生、きれいに生きたいんです。これ以上汚れたり、濁ったりしたくない。勝ち負けにもこだわりたくない。押しつけがましくなるのは嫌だし、理想論なのもわかっているけれど、今回のライブを通して、皆にも“そんなに傷だらけにならなくても大丈夫だから、きれいに生きよう”と伝えたいです」

 プライベートでは喧騒から離れ、地方の山中に暮らすという三上。SNSや最新の流行にも疎いという。しかし舞台に立てば、常に新しい、これまでに見たことのない姿を見せてくれる。そんな三上の活躍から目が離せない。

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