杉山桃子さん、祖母を書いた&描いたデビュー作についてインタビュー「佐藤愛子の人生を自分なりに表現できるのはありがたい財産」
NEWSポストセブン / 2024年11月17日 16時15分
佐藤さんについて、「厳密に言うと、意地悪というより深すぎる愛情がひっくりかえって、おかしなことになるんだと思います」と孫のフォローが入った。
ずっと一緒に暮らしてきたが、桃子さんが高校生ぐらいのときから、「おばあちゃん」という感じの存在ではなくなったそうだ。
「なんと表現したらいいのか難しいんですけど、すごくめんどくさい先輩みたいな感じでしたね。一般的な、祖母と孫の遠慮みたいなものはない関係でした」
佐藤家をよく知る人からは、佐藤さんと桃子さんの母響子さんは、親子でありつつ夫婦のような関係性でもあり、桃子さんは二人の子どものようだと言われたそうだ。
佐藤さんの元夫で、桃子さんの祖父(作家の田畑麦彦)についても書かれている。田畑麦彦について、佐藤さんの読者が「諸悪の根源」とインターネットで書いているのを響子さんが見つけ、憤ったことがあったという。
佐藤さんの小説だけ読むと、多額の借金を残し、佐藤さんが借金を背負う原因をつくった人として記憶に残るが、孫の目から見た祖父は、ほがらかで呑気な、品のいいおじいさんだったそう。
祖父の人柄の良さが祖母や母を救った部分はあった
「私にとっては本当にいいおじいちゃんだったし、母にとってもいい父親だったんじゃないかと思います。祖母はあの通り、ものすごく怒りっぽいから、祖父が緩衝材になっていたところはあると思うんです。祖母の人生にとって『害悪』に見えるかもしれなくても、祖父の人柄の良さ、のんびりしたところが祖母や母を救った部分は確かにあったと思うので、そういう面が少しでも伝われば」
ヤクザと夜通し賭け麻雀をしていたことから、杉山家では祖父のことを、「カイジ」(漫画(『賭博黙示録カイジ』の主人公)と呼んでいる、というのがおかしい。
佐藤さんの姉早苗さんについても「祖母にとってはとても大きな存在だった」と桃子さんは言う。
「認知機能が落ちていることもあるんですけど、母のことを早苗だと間違えたりして。祖母の本について『早苗についてもっと知りたい』というAmazonの読者コメントがあったこともあり、彼女についても少しですが書いています」
執筆していたのが介護がどんどん大変になってくる時期と重なったこともあり、元気だったころの祖母の姿が思い出せないこともあったそうだ。
それでも、桃子さんがまだ字を書けなかった幼少の頃に、自分で考えた物語を佐藤さんに口述筆記させたことや、キッチンペーパーを買うのをケチって書き損じの原稿用紙の上に揚げ物を並べる祖母を見て、同じようにしていたら母に怒られた話など、懐かしい思い出がいろいろ描かれている。
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