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「右翼に殺されるかと…」靖国神社に“トイレ”落書きの中国人被告が主張した「日本の職場で受けた暴力」10年以上の日本生活で変化した「日本人のイメージ」

NEWSポストセブン / 2024年12月4日 10時59分

事件後の靖国神社(共同通信)。右は動画配信者・Aが落書きをする様子(中国のSNS「小紅書」より)

 今年5月、靖国神社の「社号標」に赤い塗料で「トイレット」と書くなどし、器物損壊、礼拝所不敬の疑いで逮捕、起訴された中国籍の男性・姜卓君(29)被告。11月29日に東京地裁で開かれた初公判では、動機として日本の「処理水」に抗議する意思があったと明かされた。10年以上日本で生活していた被告だが、労働の場で年下の日本人に暴力を受けていたと主張したのだった——ライターの普通氏がレポートする。【前後編の後編。前編を読む】

「2年間、年下に殴られ続けた」

 起訴状によると、姜被告は共犯者の中国人A、Bとともに、5月31日午後9時ごろ、靖国神社の社号標に赤い塗料で「トイレット」と書くことで汚損し、礼拝所に対して公然と不敬な行為を行なった。実行犯だった動画配信者AとカメラマンのBは犯行後出国し、いまだ日本国内での逮捕には至っていない。

 事件当日、姜被告はA・B両名の荷物を持って近くの駅で待機しており、現場にはいなかったという。被告人質問では、ほとんどの質問に対したどたどしい日本語で答えた。

弁護人:「捜査機関の取調べで、当初から犯行を認めていましたか」

姜被告:「『100%の事実ではありません』と言いました」

弁護人:「それはなぜですか」

姜被告:「自分は歴史に興味はないけど、日本にとって大事なものと分かってました。なので、右翼に殺されると思ったので。SNSを見たら、Aに500万円、1000万円の懸賞金をかけたなどの投稿も見ました」

 検察官の冒頭陳述によると、姜被告は中国で生まれ、2013年に留学のため来日し、日本の大学を卒業した。会社員だった時期もあるが、事件当時は無職だったという。

 昨年の3月に、3年間働いた会社を退職した。2年間、年下の社員に仕事の教えを請おうとすると、毎日のように殴られていたと供述する。

弁護人:「2年間殴られ続けたのですか」

姜被告:「はい。でも、私が通報して、大きな損害賠償を請求したら会社が倒産するかもしれない。なので、社長が30万円で示談して、殴られたことを裁判にしないでほしいと言われた。それに応えて、会社を守ったんです」

弁護人:「日本のことは好きですか」

姜被告:「11年いて、たくさんの日本人と話した。他の人の気持ちを大切にすると学んだ。でも、海を汚そうと、周辺諸国を気にせずしている。好きな気持ちが曖昧になりつつある」

 弁護側としては、日本人についてかねてからの悪感情を持っているわけではないという主張かと思われる。しかし、それ以上に姜被告が、自身の考え方に正当性を持たせたい人物であるという印象が残るやりとりだった。

中国版のTikTokで中国国旗を…

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