《能登地震から1年「1人で迎える元日」》震災で妻子を失った警察官「珠洲には辛くて帰れなかった、でも…」苦しみ、そして前を向き始めたきっかけ
NEWSポストセブン / 2024年12月26日 11時15分
妻と子供が愛した珠洲、能登なんですけど。復興してほしいというのは思うんですけど、でもやっぱり、自分の中では、家族を失った場所になってしまった、という気持ちも正直あって。好きだった思い出と、辛い思い出が共存する場所になってしまったんです」
1月1日の震災後、大間さんは土砂の下敷きになった家族の救出活動を何日も続けた。家族や親族の遺体が見つかるまでの5日ほどの日々を、「本当に、地獄だったんですよね」と振り返る。
「あの時間を、思い出してしまうんじゃないかと思って、なかなか帰れなかったんです。家族を全て失ってしまうかもしれないという気持ちのなかで過ごした時間はすごく長く感じたし、今も思い出してしまうことがある」
あれから1年。それでも次の元日は、「珠洲に帰ろうかと思っているんです」という。
「輪島市にある学校で、震災と豪雨の犠牲者の追悼をするイベントを、県が元日に企画していまして、それに参加しようと思っています。その日、天候次第ではあるんですけど、仁江町のほうにも行こうと思っています。
やっぱり、いつまでも向き合わないわけにいかないというか、今後生きていく上で向き合わなければいけないのかなと思います。妻のお母さんが、まだ体の一部しか見つかっていないんです。まだ、あの場所にいるので。お母さんに会いに行くというのと、おじいちゃんおばあちゃん、妻や子供も含めて、亡くなった人たちの魂も、まだあの場所にいるのかなと思って。1年の節目で、そういうことを感じようと思っています」
悲しみに向き合うことは「重荷」ではない
「前を向かないと生きていけない」と話す大間さんがチャレンジしたのは、10月27日に行なわれた金沢マラソンだった。当日はランニングウェアに家族4人の写真を貼って、42.195キロを完走した。大間さん一家は、家族で度々マラソンの練習をしていたという。
「3月の下旬くらいに1人で練習を始めた頃は、泣きながら走ってたんですけど。徐々に、子供たちが一緒に走ってくれるような、体を押してくれるような時間に変わっていった。震災直後は、夜はお酒を飲まないとなかなか寝付けなかったんですけど、練習を始めたくらいから徐々に寝つけるようになりました。
マラソンが終わって、今は具体的な目標はないですけど、今後も1日1日を無駄にせずに生きていきたい。やっぱり私は、生かされた命なので。子供たちや妻が生きたくても生きられなかった時間を、自分が大切に、一生懸命生きなきゃいけないと思うんです」
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