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47歳でフィギュア競技を始めた大人スケーター「スピンは苦手、イナバウアーは多少できる」充実のスケート人生

NEWSポストセブン / 2024年12月30日 7時15分

 ただ、お金以上に厄介なのが1と2でした。でもこれらは、単なる自分の思い込み(ブレインロック)にすぎないんですね。「趣味にお金をかけるよりも、老後資金を貯めるほうが先じゃない?」「大人が『楽しそうだからやってみる』なんて子供じゃあるまいし」などと思ってしまう自分のブレインロックに気づいては外していく、そんな日々でした。特に最初の数年間は。

「スケートをしていることを周りに言えない」という悩み

──試合やショーに出るようになっても「こんな年齢だから」「まだ下手だから」という思い込みから、「趣味はスケート」と人に言えない時期が続いたんですね。

 はい。スケートを始めてから4年たってようやく、「もうええんちゃう?」と思うようになったんです。私はスケートが好きなんだから、順位がどうであろうと、人からどう思われようと、気にすることはないんじゃないかと。それで、SNSでカミングアウトしました。そうしたら、突如として世界が広がったんです。私は公立高校で日本語教師をしているのですが、同僚が応援してくれたり、生徒が「先生すごいね」と言ってくれたり。SNSを通じて、世界中に大人スケート仲間もできました。自分の首をしめていたのは、ほかの誰でもなく自分自身だったことに、気づかされたのです。

 でも、「自分に正直に、やりたいことはやっちゃえ」は、なかなかハードルが高い! 年齢が上がれば上がるほど、そうですよね。周りに言えなかったことを本に書いたら、スケーターでない方にも「『あぁ、私と同じだ』と、泣いてしまいました」という感想をいただいたこともあります。

 でもやっぱり、好きでやっていることを隠すのって、自分に負荷をかけていると思うんです。昔の私と同じように悩んでいる人もいると知ったので、自分の経験をSNSで発信したり、本を書いたりしています。スピンもジャンプもまだまだなのに、アラカンで世界大会に出ている私を見て、みなさんにも「弾けて」もらえたらと(笑)。

70歳で試合に出る人も。大人スケーターはどこまで上達するか?

──アメリカ国内はもとより、今年はイタリアで開催されたマスターズ大会に出場するなど、積極的に競技大会に出場されています。どのくらい練習されていますか?

 時期によって練習量は違います。マスターズ大会の前は仕事に行く前、朝6時から7時まで、週5回、「朝練」をしていました。週に一度は30分、コーチのレッスンを受けています。私は空気が透き通った早朝、脳みそが空っぽの状態で、自分と対話する時間がとても好きなんですね。仕事が忙しくなる学年末や、ほかのことで忙しい時期は、数週間滑らないこともあります。そこは大人ですから、スケートに入れ込んでも、自分を追い込まないようにしています。「人と比べない」のも大切だなと感じています。なかなか難しいですが。

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