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「日本一土地代が高い」新宿・歌舞伎町のバッティングセンターはなぜ潰れないのか? 店が語った驚異の「1日の来場者数」と営業理念

NEWSポストセブン / 2025年1月4日 16時15分

 同企業の創業は戦後間もない1945年。空襲で焼け野原となった新宿だったが、高度経済成長期を経て世界でも有数の歓楽街へと姿を変えていく。プロ野球のセ・リーグ観客数が年間約1000万人を記録し野球人気が高まった1978年、自社の土地にバッティングセンターを誕生させた。

「街の歩みとともに会社も成長してきました。新宿を面白くするという会社の理念から、アミューズメント施設の提供ということで始めたようです」(村山氏)

のべ人数で一日2000人以上の来店も

 素朴な疑問はいくつもある。自社物件で賃料がかからないとはいえ、光熱費の高騰などコストアップが加速する現在、利益は出ているのだろうか。

「原材料を仕入れる経費がかかる飲食店とは異なり、バッティングセンターは機械を一度導入すれば仕入れは必要ありませんし、機械のメンテナンス費用や消耗品(ボールなど)の費用は毎日かかるわけではありません。新宿という土地柄、常連の方に加えて観光客なども来ますので、人の往来がある限りなんとかなります」(村上氏)

 客が少ないと思われた平日の午前中に行って納得した。お昼過ぎには外国人観光客が3組10人ほど、それに加えて常連とおぼしき白髪の男性や大学生風の若者、そして徹夜で飲んだのか、打席に立ったあとゲームコーナーでうとうとしていた男性もおり、常に十数人は出入りしていた。

「ここ10年間での1日の最高売り上げは2023年の4月29日です。この日の来店者数はのべ人数で2000名様以上となり、ゲーム数換算で約2700ゲーム(65000球以上)動いています。これは新型コロナが落ち着いたタイミングでのゴールデンウィーク期間でもあり、インバウンドの回復や国内での行動正常化の機運があり来客が伸びたと思われます。

 直前には、大谷翔平選手の活躍で日本が優勝したWBCが開催されていたのですが、期間中はご自宅や飲食店などでの楽しみ方になっていて来店動機にはなりにくかった。優勝決定後の熱冷めやらぬGW期間は喜びを爆発させるように、多くの方にご来店いただきました」(村山氏)

   民間企業の経営指標例によれば、自社物件での人件費や水道光熱費、宣伝広告費等を含めた運転資金は月額150万円前後という試算もある(独立行政法人中小企業整備機構が運営するHP「J-Net21」の試算より)。おおよそ1日5万円以上の売り上げがあれば利益がでる計算だが、新宿バッティングセンターでのここ10年でこの額を下回ることはなかったという。2024年10月に利用料金を100円値上げしたが「物価高が理由だけで値上げしたのではウチらしくない」(村山氏)と、ネットの全面張り替えやピッチングマシーンのLED化など、値上げの前に投資を先行させたそうだ。

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