男女は「似たもの同士」のほうがいいか
プレジデントオンライン / 2013年10月11日 8時45分
世間では「似たもの同士」のほうがうまくいく、と考える風潮がありますが、どちらがいいとは一概に言い切れません。
心理学に「釣り合い原理」という考え方があります。人は似たような他人を選択する傾向が強く、そういう人たちのほうが、関係が長く続きます。自分に似ていれば、意見や関心が一致しやすいため、自身が正当化され、ひいては自信が持てるようになるからです。
たとえば海好きな人が、わざわざ興味のない山登りサークルに参加しません。それと同じで、そもそも人が誰かと出会うとき、はじめから自分に合いそうな集まりを選んでいるのです。
人と人が関係を築いていくことは、お互いが共有できる範囲を広げていく行為でもあります。例えば、自分の円があるとすれば、その重なりが多ければ多いほど、似たもの同士ということになります。
ただし、重なる部分が少なかったとしても、一致しない部分に対して「あなたはそういう考え方なのね」と、違う価値観を受け入れることができれば、それはそれで親密になれます。趣味も何もかも違うのにいいカップルというのは、似ていない部分を認め合える、理解できるという部分で繋がっているのです。ですから、「似たもの同士」であるか否かは、結局どちらでもいいのです。
ただ、あまりにも違いすぎると、共通項を探したり、相手の価値観を受け入れること自体、非常に困難です。ある程度似ている人のほうが、楽に、より早く良好な関係を築くことができます。
■わずか4年で消える愛の炎
次に恋愛の側面から考えてみましょう。人は恋の段階では相手に同質を求めます。でも、愛の段階になると、異質を受け入れることを求められるようになるので、お互いの円が重なり合わない部分まで理解できる関係にならないと、結婚や長期的な恋愛関係は難しいものです。
恋って情熱的に燃え上がって盛り上がるものですよね。でも、そういう感情的なものは長く続いて18カ月といわれています。一種の興奮状態にあるわけですから、その状態が18カ月以上続くと体のほうが参ってしまいます。そのため、体の免疫の防御機能の1つとして、自然に冷めるようにできているんです。
冷めた頃になって、ようやく相手のことを落ち着いて見られるようになります。ここで自分と違う部分を理解し、受け入れられそうであれば、めらめらと燃えた炎が、とろ火の愛情に変わっていくのです。ただ、その愛も4年で終わり、あとは惰性で続いていくものだといわれていますけど(笑)。ですから、恋も愛も終わってしまったら、その関係性を続ける努力が必要になってくるわけです。
人の気持ちや考えは常に移ろいゆくものです。「この人はこういう考え方の人だ」と決めつけてしまうのではなく、日々初対面のようなつもりで、「どんな一面を持っているんだろう?」という気持ちを持つことが大切です。
一方、似たもの同士の場合、「自分に似ているから」と、安心しきってしまい、それ以上相手を見ようとしなかったり、「わざわざ言わなくても、自分のことをわかってくれて当然」と思いがちです。これは似たもの同士のよくないところですね。
男女別で見ると、男性のほうが常に優秀で、相手に対して力を及ぼすことができることを求める傾向にあるので、自分に同調してくれる「似たもの同士」を選ぶ人が多いです。対する女性は自分を変えることが好きなので、異質なものを受け入れるゆとりがあります。だから、必ずしも「似たもの同士」を強く求めているわけではありません。
でも、相手の違う部分を尊重して受け入れる人のほうが魅力的だし、そのほうが楽しそうだと思いませんか?「似たもの同士」のほうがいいという風潮に流されず、いろんな人と積極的に交流するほうが、出会いの機会も増えますし、自分の幅も広がりますよ。
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東京女子大学大学院社会学修士号取得。報道や広報の仕事を経て、銀座でナンバーワンのホステスに。その後、心理カウンセラーとして独立し、東京中央カウンセリングを設立。
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(心理カウンセラー 塚越 友子 構成=吉川明子 撮影=若杉憲司)
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