こっそり話すスピードを変えるだけで初対面でも信頼関係が生まれる…コミュ力が簡単に爆上がりする話し方
プレジデントオンライン / 2024年5月18日 15時15分
※本稿は、藤本梨恵子『なぜか惹かれる人の話し方 100の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■「私とあなたは似ている」と伝われば安心感を覚える
あなたが「この人とは、なんか合うかも」と安心感や信頼感を抱くのはどんな人ですか?
人には、自分と似た人に安心感や信頼感を感じる「類似性の法則」があります。
太古の昔、人間は知らない獣や部族と出くわすと、襲われる危険がありました。自分に似ていない人は危険、似ている人は安全と感じるのは本能的な感覚なのです。
だからこそ、会話の中で「私とあなたは、似ていますよ」と“考えさせる”のではなく、“感じさせる”無意識領域のペーシング(同調行動)が不可欠なのです。
無意識領域には、呼吸やジェスチャーがあります。相手の表情や仕草などを鏡のように合わせることは「ミラーリング」と呼ばれています。短時間で安心感や信頼感を与えることができ、まるで以前からの知り合いのように感じてもらえます。
笑うときに大きく手を叩いて大声で笑う人や、説明するときに身振り手振りがつくオーバーリアクションの人には、こちらもジェスチャーを大きくして会話をしたほうが“あなたと私は似ています”と伝えることができます。
反対に、物静かに話す人に軽快に話すと「うるさく、落ち着きがない人だ」と思われやすいので、こちらも声やジェスチャーは控えめにして話すのが得策です。
■完全に模倣せず、7割程度で自然に真似る
丁寧な敬語で話す人は、フランクな話し方の人を「品がない、無礼な人だ」と感じ、フランクな話し方の人は丁寧な敬語の人を「バカ丁寧で、堅苦しい」と感じることがあります。
ビジネスで専門用語を多用する相手には、こちらもしっかり専門用語で話をしたほうが理解も進みます。
ペーシング(同調行動)は、100%真似ると不自然で気持ち悪いと相手に感じさせてしまうので、7割程度で自然に真似れば十分です。
完全に模倣せず、部分的に模倣することを「クロスオーバーミラーリング」といいます。たとえば、相手が足を組んでいたら、自分は机の上で手を重ねる。
同じでなく、似ている状態になるように工夫すればいいのです。そうすれば、相手に怪しまれることなく自然に心理的距離を縮めることができます。
初対面でも旧知の仲のように感じてもらうためには、まず目に見える、表情、仕草、服装、話し方を自然に相手に合わせることで、目に見えない心が合ってきます。まずは相手の香り=雰囲気をあなたがまとうことが大切です。
■仲のいい人とは自然に息が合っている
仲のいい間柄のことを「息が合っている」といいますよね。
ラポール(信頼関係)を構築するペーシング(同調行動)は、意識より無意識的な部分を合わせるほうが効果的です。その中でも一番重要なのは、呼吸です。
機会があればぜひ実験してほしいのですが、仲のいい人の前であなたがコーヒーを飲むと、同時か少し遅れて相手もカップに口をつけるはずです。
これは、息を吸い込むタイミングが同じだからです。仲のいい人とは自然に息が合っているのです。
なかなか寝ない赤ちゃんも、抱っこして呼吸を合わせると安心感が生まれ、あっという間に寝てしまいます。これは保育士さんの間では「スースーネンネ」と呼ばれ、お昼寝の時間に使われるプロの技です。
反対に、赤ちゃんにイライラしながら背中をトントンしても、なかなか寝てくれません。お互いの呼吸が合っておらず、ディスペーシング(反同調行動)になるからです。
呼吸は話すリズムに現れます。早口の人は呼吸が浅くてスピードが速く、呼吸がゆっくりな人は話すスピードもゆっくりです。
相手の話すスピードに合わせるとラポール(信頼関係)が生まれ、自分の話や意見を相手が理解し、受け入れてもらえる確率がアップします。
■人から愛される人は相手の「命のリズム」を感じている
呼吸が止まると人は死んでしまうので、呼吸は人の最も深い部分の欲求である生存欲求に直結しています。そのため、相手の呼吸=話すスピードに合わせると、より深い安心感が生まれます。呼吸は相手の命のリズムなのです。
早口の人はゆっくり話す人にイライラしがちです。逆にゆっくり話す人は、早口な人に対して落ち着きがなく感じ、何を話しているのか聞き取れないことがあります。
人から愛される人は、相手の命のリズムに合わせて話します。
私たちは気の合う相手とは自然に呼吸のペースが合っていますが、卓越したコミュニケーションができる人は、仲のいい相手だけではなくどんな人にも呼吸を合わせ、意識的に信頼関係を築いているのです。
相手の呼吸を感じるためには、まず心の矢印を相手に向けておくことが大切です。
■心地よい会話をするには「パーソナルスペース」が大切
近所の家の番犬に急に吠えられて驚いたことはありませんか? 犬は、自分の縄張りに急に踏み込まれたから吠えたのです。
同様に、人にも他人が侵入すると不快に感じるパーソナルスペースという心理的縄張りがあり、警戒されずに話すためには、相手の心理的縄張りを意識することが重要です。
パーソナルスペースは次の4つに定義されます。
①公衆距離:
教室やホールなど複数の相手が見渡せる距離。相手に個人を感じさせない距離。講演会や街頭演説など、話し手が一方的に話すシチュエーションが多いので、ワンセンテンスを短く、ジェスチャーは大きくわかりやすく話す必要があります。
②社会距離:
相手に手は届かないが会話が容易にできる距離。机を挟んで会議や商談をするようなビジネス上の会話に適した距離。
③個人距離:
お互いの表情が読み取れる、手を伸ばせば触れられる距離。友人など親しい間柄なら不快に感じない距離。
④密接距離:
相手と密着もできる至近距離。家族や恋人などはよくても、近しい関係でない人が入り込むと不快に感じる距離。
満員電車が不快なのは、至近距離に見知らぬ相手がいるからです。電車で新聞を読んだりスマホを見たりするのは「儀礼的無関心」といって、相手の存在は認識しても凝視せず、敵意がないことを示す行為です。周りに、自分は無害だとアピールしているのです。
この4つの距離を理解した上で、相手を不快にさせないように会話をします。
■「心の縄張り」を意識しながら距離を縮めよう
物理的な距離は心理的な距離に影響を与えます。初対面では椅子も適度な距離を保ち、打ち解けた頃に椅子を少し引いて相手と距離を近づけるなどの工夫が必要です。
ビジネスではお客様に「こちらをご覧いただけますか?」と机の上に資料を並べて説明すると、お互いの距離が縮まり、商談がスムーズに運びます。
プレゼンの場合、演台の前に立ち続けるより、時折、聴衆に近づいてアイコンタクトをしつつ話したほうが、心理的な距離が縮まって会場と一体感が生まれます。
話上手な人は、自然に物理的な距離を使い分け、心理的な距離を縮めているのです。
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ファイン・メンタルカラー研究所代表
NLP心理学を中心にコーチング、カウンセリング、マインドフル瞑想などの手法を習得し統合。その手法を生かし、キャリアカウンセラー・講師として独立。各企業・大学・公共機関の講演の登壇数は2000回を超え、婚活から就活まで相談者数は1万人を超えている。コーチング、パーソナルカラー、カラーセラピスト、骨格診断ファッションアナリスト等のプロ養成講座の卒業生は500人を超え、個人診断においては1000人を超える。著書に『いつもよりラクに生きられる50の習慣』(かんき出版)などがある。
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(ファイン・メンタルカラー研究所代表 藤本 梨恵子)
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