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JTは3000万円?! 割増退職金がいくらなら社員は会社を辞めるのか

プレジデントオンライン / 2015年3月12日 8時45分

■2014年は企業のリストラが少なかった

東京商工リサーチの調査によると、昨年2014年は、上場企業の人員削減が大幅に減少した年でした。

<東京商工リサーチ WEBサイトより>
2014年に希望・早期退職者の募集実施を公表した上場企業数は、前年比4割減の31社だった。アベノミクスに伴う急速な円安進行から上場企業の業績が輸出企業を中心に改善し、人員削減に動いた企業は調査を開始した2000年以降で最少となった。また、募集人数は7098人(前年1万782人)で、3年ぶりに1万人を下回った。

ところが、今年に入って、有名企業の人員削減のニュースが目立つようになりました。

<不景気.com より>
1/6  コロムビアが希望退職者の募集による60名の追加削減へ
1/8  電通が早期退職優遇制度による300名の人員削減へ
1/16 KADOKAWAが早期退職による300名の人員削減へ
1/26 オンキヨーが希望退職者の募集による100名の人員削減へ
1/29 日立マクセルの早期退職に163名が応募、転籍・出向は115名
2/5  ソニーがモバイル部門で2100名の削減へ、15年度末までに
2/5  JTの希望退職者募集に1754名が応募
2/12 セガサミーが希望退職で300名削減へ、事業整理・縮小で

一般的に、早期退職優遇制度とは恒常的に行われ、希望退職とは一時的に募集人数などを定めて実施される違いがあります。いずれも、割増退職金の支給などにより、退職者へのインセンティブが設定されます。

では、気になる割増退職金とは、どのくらいの金額なのでしょうか。

割増退職金の金額は、年齢や給与水準などによって決定されます。60歳定年として、<年収額×定年までの年数>が、社員にとっての予定収入、会社にとっての人件費削減額となるからです。

決定方法については、「月給の◯カ月分」という方式や「現時点の退職金額の◯%増し」「年齢に応じた定額」といったスタイルがあります。

■割増退職金の水準を知る方法

標準的な上場企業の場合、50歳時点での退職金が1000万~2000万円程度、それに割増退職金が500万~1500万円程度上乗せされる、といったイメージでしょうか。

ちなみに、上場企業であれば、「希望退職募集の結果」といったIR情報が自社サイトなどで公表されますので、割増退職金の水準を類推することが可能です。

図表を拡大
主な企業の希望退職・早期退職結果

図表は、近年発表された主要企業の希望退職や早期退職の結果です。特別損失の中には、再就職支援会社との契約料(1人当たり平均100万円程度)なども含まれますが、その大半は割増退職金と考えてよいでしょう。したがって、1人当たり特別損失額を算出すれば、ほぼ割増退職金の平均水準ということになるのです。

グリーは、若手社員が中心の会社のため例外的ですが、JTや電通は3000万円といった高額になっています。「そんなにもらえるなら」と思われるかもしれませんが、このクラスの企業だと、50歳前後の標準年収は1000万円以上になります。社員にすればその後に得られるであろう1億円前後の収入と引き換えにとなると、判断に迷うところでしょう。

一方、企業側にとっては、社会保険料や福利厚生などを含めると、削減できる人件費はこれ以上となり、十分に算盤が合うのです。

この図表で、電通の早期退職応募者は104人となっていますが、もともとの募集人員は300人です。要するに、3000万円以上積まれても、辞めない人の方が多かったということを意味します。

割増退職金の水準は、会社側と社員側の損得勘定の妥協点を表しているのです。

(新経営サービス 常務取締役 人事戦略研究所所長 山口 俊一)

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