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なぜ、海外投資家は日経平均を信用しないか

プレジデントオンライン / 2016年4月3日 12時15分

寄与度ランキング

■「ユニクロ」ばかりが影響を与えている

「ユニクロ」を世界展開するファーストリテイリングが、日本の株式市場にとって特別な存在だということをご存じだろうか。同社は、日経平均に対して大きな影響力を持っているのだ。

「日経平均株価」という指数は、日本経済新聞社が東証1部に上場している約1950銘柄のうち225銘柄を選定し、定期的に入れ替えながら構成しており、半年先の景気を表すと言われている。しかし、時価総額の比重を考慮しておらず、「値がさ株」(株価の高い株)の影響を受けやすいのが特徴だ。構成銘柄すべての値動きが均等に影響を与えるわけではない。そこで最も大きな影響を与える銘柄がファーストリテイリングである。日経平均の騰落に個別銘柄が与える影響力を示す「寄与度」は8%超と極めて高い。続いてKDDI、ファナック、ソフトバンクグループの3銘柄で、それぞれ4%程度。上位4銘柄の寄与度だけで全体の20%を超えている。

この状況には問題がある。国外と国内の投資家で重視する指数が違うことだ。日経平均が市場全体の動きを反映していない歪んだ指数だという見方により、多くの海外投資家はTOPIXを重視する。しかし、国内投資家の多くはいまだに日経平均の動向を注視する。単純に、TOPIXに対して歴史が古い日経平均に親しみがあるからだ。

次に、ファーストリテイリングなど寄与度の高い銘柄へ海外ファンドなどが投機マネーを大量に流入すれば、意図的に株価を吊り上げ、日経平均の上昇を演出できるという点だ。寄与度の高い銘柄が材料もなく上下に振れることがあるが、これは指数へのインパクトが大きいぶん、指数を押し上げるのに効率がいいからだ。

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日経平均との比較

日経平均とチャートを比較すると、上昇と下落のインパクトはファーストリテイリングのほうが大きいものの、だいたい似たような動きが見られる。第2次安倍内閣が誕生した2012年12月26日の日経平均終値は1万230円。同日のファーストリテイリングの終値は2万1170円(単元株数は100株)。アベノミクス相場の到来により、日経平均は強い上昇トレンドを続け、15年6月24日に高値2万952円をつけた。しかし、チャイナショックや原油安などにより波乱の展開となり、16年2月12日に1万4865円まで下落した。

ファーストリテイリングは、15年7月30日に上場来高値6万1970円をつけた後、地合いの悪化に伴い調整色を強め、16年2月17日には3万720円まで下落。なんと約半年で、株価が半分になってしまったのである。

同社の業績動向も日経平均の推移における重要なファクターの1つであり、同社がアナリスト予想を上回る好決算を発表した場合、翌日の日経平均の上昇につながりやすい。ただし、好材料を出したタイミングと米国株の大幅下落などの外部要因が重なった場合は、相場全体の方向感に引っ張られやすい。これは寄与度が圧倒的に高い同社ならではの特性だ。このような日経平均との関係性は、同社の株主のみならず、ETFや日経平均先物などの指数を売買する人もおさえておきたい重要なポイントである。

(フィスコ リサーチアナリスト 飯村 真由)

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